エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.17
2009.09.08 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota
まずは、新製品の概略を紹介しておこう。
今回発表される、Core i5-750およびCore i7-860/870は、Intelが「Core 2」ブランドを整理し、「Core i」ブランドに統一を図っていく、その第一弾となる製品群だ。紛らわしいのは、同じ「Core i7」ブランドでありながら、800シリーズと900シリーズではソケットに互換性がないため、相互に利用することができない点だろう。ブランド統一を図るなら、互換性に配慮したネーミングにして欲しいと思うのは筆者だけではあるまい。
さて、この新CPUの何が新しいのかと言えば、CPUにメモリコントローラだけではなく、PCI Express I/Fを内蔵してしまった点だ。ただし、I/Oコントローラとなる「PCH」との接続には、PCI Expressを使わず、専用のI/F「DMI」で接続される。Lynnfieldに内蔵されるPCI Expressは16レーンであるため、NVIDIA SLIで構成する場合、「x8+x8」接続となり、Core i7-900シリーズ+X58 Expressの「x16+x16」と比べるとパフォーマンス面では一歩劣ることになる。
それを図にすると以下のようになる。
CPUにPCI Express I/Fを内蔵したことにより、組み合わせられるIntel P55 Expressは、Intel X58 Expressとは大きく変わっている。これまでI/Oコントローラとして存在していたICHが必要なくなり、P55に内蔵され、名称も「PCH」(Platform Controller Hub)となった。図を見るとLynnfieldプラットフォームは、かなりスッキリした印象だ。
そして、Core i5-750およびCore i7-860/870の違いをまとめたのが、下記の表だ。Core i5は、Hyper-Threadingに対応しないため、論理CPUは4CPUとなる。そしてCore i7-860/870はHyper-Threadingに対応し、Core i7-900シリーズと同様に論理CPUは8CPUだ。Core i7-900シリーズと、800シリーズの大きな違いは、メモリチャネル数と、PCI Express I/Fを内蔵するか否か、そしてCPUソケットが異なっている。
ハイパフォーマンスデスクトップ向けCPUの比較
|
||||
CPU | Core i7-860 Core i7-870 |
Core i5-750 | Core i7-900 Series |
Core 2 Quad Q9550/Q9650 |
CPUソケット | LGA1156 | LGA1156 | LGA1366 | LGA775 |
CPUクロック | 2.8GHz 2.93GHz |
2.66GHz | 2.66~ 3.33GHz |
2.83GHz/3.0GHz |
物理コア数 | 4 | 4 | 4 | 4 |
論理CPU数 | 8 | 4 | 8 | 4 |
Hyper-Threading | ○ | ─ | ○ | ─ |
L2キャッシュ容量 | 256KB×4 | 256KB×4 | 256KB×4 | 6MB×2 |
L3キャッシュ容量 | 8MB | 8MB | 8MB | ─ |
メモリインターフェイス | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 | ─ |
メモリチャネル | 2ch | 2ch | 3ch | チップセットに依存 |
TDP | 95W | 95W | 130W | 95W |
対応チップセット | P55 Express | P55 Express | X58 Express | P45 Express |
I/Oコントローラ | PCH | PCH | IOH + ICH | MCH + ICH |
CPUを含めたプラットフォームを比較したのが、次の表だ。
プラットフォームの比較
|
|||
チップセット | P55 Express | X58 Express | P45 Express |
CPUソケット | LGA1156 | LGA1366 | LGA775 |
対応チップセット | P55 Express | X58 Express | P45 Express |
メモリインターフェイス | CPUに内蔵 | CPUに内蔵 | チップセットに内蔵 |
対応メモリ | DDR3-1333 | DDR3-1066 | DDR3/DDR2 |
メモリチャネル | 2ch | 3ch | 2ch |
PCI Express I/F | CPUに内蔵 | チップセットに内蔵 | チップセットに内蔵 |
PCI Express Graphics | 16レーン x16 + x0 x8 + x8 |
32レーン x16 + x16 + x0 x16 + x8 + x8 |
16レーン x16 + x0 x8 + x8 |
CrossFireX サポート | ○ | ○ | ○ |
SLI サポート | ○※1 | ○※1 | ─ |
SATA2 | 6ポート | 6ポート(ICH10) | 6ポート(ICH10) |
RAIDサポート | ○ | ICH10Rにて対応 | ICH10Rにて対応 |
※1 マザーボードごとにNVIDIAからライセンスを受ける必要がある
|
LynnfieldはチップセットにPCI Expres I/Fを内蔵しているが、ATI CrossFireXのほか、NVIDIA SLIにも対応している。ただし、Intel X58 Express搭載マザーボードと同様に、NVIDIAからのライセンスを受けたマザーボードでのみNVIDIA SLIに対応することになる。Intelが一括して、CPU自体にライセンスを付与すれば、全マザーボードでSLIに対応できたのだろうが、コストを考えての対応なのだろう。