エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.17
2009.09.08 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota
もう一つ、Core i5-750の特徴でもあるSLI対応を検証してみよう。今回は、GeForce GTX 275のSLIにてパフォーマンスをチェックしてみた。冒頭でも述べたが、Core i5-750でSLI構成をする場合には、GIGABYTEのGA-P55-UD6のようにSLI対応マザーボードが必要だ。またGTX 275のように消費電力の高いビデオカードでSLIを構成する場合は、高容量のSLI対応電源を準備しておいた方がよいだろう。
GIGABYTE「GV-N275UD-896H」 |
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今回のテストには、NVIDIA GeForce GTX275搭載の「GV-N275UD-896H」を使用した。 コアクロック633MHz、ストリーミングプロセッサ240基、メモリクロック2400MHz、メモリバス448bitで、896MBのビデオメモリを実装し、GIGABYTE独自機能となるUltra Durable VGAテクノロジーを搭載している。 問い合わせ/株式会社リンクスインターナショナル(製品情報) |
まずは、3DMark06の結果から。GTX 275シングル時に比べて、伸びはごくわずかに留まった。これは、GTX 275のSLIでは、Core i5-750、Core i7-920ではパフォーマンス不足ということを表している。つまりCPUの頭打ちに近い状態となっているわけだ。とはいえ、解像度が上がるごとにSLIの優位性が現れており、一定のパフォーマンスアップにSLIは有効だろう。
続く3DMark Vantageでは、SLIパワー炸裂といった感じでパフォーマンスが伸びている。これは、PhysX(CUDA)やDirectX 10固有のパフォーマンスがSLIでブーストされるためだ。実際のゲームでは、3DMark06のような伸びになる場合がほとんどであり、3DMark Vantageのスコアは、あらゆる要素が全てプラスになった場合のベストケースと考えるべきだろう。とはいえ、ベンチマークスコアを競うのであれば、SLIは最低限導入すべきアイテムなのは間違いない。
SLI構成時の消費電力も計測してみた。こちらは、3DMark06およびVantageを1ループさせた際の、最大消費電力を取得しているため、前述した消費電力とは互換性がない点に注意してほしい。
その結果だが、Core i5-750のアイドル時は133W、Core i7-920は181Wで、その差は50W近い。さらに3DMarkをそれぞれ実行した場合も、Core i5-750はCore i7-920を40W近く下回っている。3DMark06/Vantageのスコアを見る限り、消費電力あたりのパフォーマンスで、Core i5-750はCore i7-920を上回っているのは確実のようだ。
Core i5-750は、すんなりとCore i7-920と同程度と述べることはできず、またQ9550を100%上回るかと言えばそうでもない、という微妙なラインにあるCPUだ。しかし、価格を考えた場合、今回の各スコアは、至って妥当であることに気づく。
Core i5-750の予想実売価格は、2万2000円前後。Q9550の実売価格も同程度。そしてCore i7-920は、3万円をきる程度となっていることを考えると、各グラフの並びは至極、Intelの予定通りなのである。Q9550と同程度の価格ながら、ほとんどのケースでCore i5-750は上回り、それでいて消費電力も低いとなれば、これからあえてCore 2 Quadを選ぶ理由は、もはや無いと言えるだろう。
その一方で、気になる部分もある。その一つがCPUクーラーだ。わずか3mmという差のために、LGA775のCPUクーラーは流用できず、大型の静音CPUクーラーなどを持っている人は最悪の場合、買い替えということになってしまう。各CPUクーラーメーカーは、既存の製品にLGA1156用リテンションを同梱という方向に動くようだが、リテンションだけを別売するかどうかは各社様子見といった感じで、今のところ対応CPUクーラーを買う以外にない。コストパフォーマンスに優れるCore i5-750だが、なぜこのような仕様にしてしまったのか、自作派としてはIntelに説明を求めたいところだ。
しかし、Core i5-750のパフォーマンスを見る限り、パフォーマンスデスクトップクラスにおいて、Core 2シリーズは終焉を迎えたことも確かだ。近いうちにPCの新調を考えているなら、新しいCore iシリーズは、選択肢の有力候補になるに違いない。