エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.23
2010.01.04 更新
文:GDM編集部 池西 樹
今回発表された新型のAtomでは組み合わせて使われるサウスブリッジも一新されている。そのためディスクアクセス速度に変化があるのかをCrystalDiakMark2.2を使って確認してみた。
今回チェックした3つの環境では、有意な差は見られなかった。ディスクコントローラの性能には大きな違いが無いようだ。「BOXD510MO」でも十分高速なSSDの性能を発揮できるだろう。
D510のTDPは13W、330のTDPは8WとCPUだけで見るとTDPが上がっているが、実際にはD510にはノースブリッジの機能が統合されているため、Atom 330+Intel 945GC(TDP 22.2W)の30.2Wから比べると17Wも少なくなっている。今回はワットチェッカーを利用して実際にどの程度消費電力が低減されているかをチェックしてみた。アイドル時はOSが起動してから10分放置後の消費電力の値、負荷時はOCCTを実行して10分後の値と3DMark03実行時の最大値をそれぞれ取得した。また、今回「BOXD510MO」についてはメモリ1枚の時と2枚の時でどの程度消費電力に差が出るのかもチェックしてみた。
「BOXD510MO」と「D945GCLF2」ではアイドル時で7W、OCCT負荷時では9W、3DMark03の負荷時では11Wの差がついた。TDPの差を考えるともう少し消費電力にも差がついてもいいと思うかもしれないが、CPUとノースブリッジの機能をフルに利用する場面はそれほど多くないため、実際にはこの程度の差になったのだろう。
それでも、もともと消費電力の少ないAtomシステムにおいて最大11Wも消費電力が削減されているのは注目に値する。メモリ1枚あたりの消費電力は今回の結果から約3W程度のようなので、「BOXD510MO」でメモリを2枚搭載しても「D945GCLF2」より十分省電力なシステムを構築できるだろう。
「Celeron E1200」とは消費電力の比較をするにはあまりにもターゲットが違っているが、「Celeron E1200」のアイドル時より「BOXD510MO」の高負荷時の消費電力が低いのは素晴らしい。
ここまで新旧のAtomプラットフォームの差を確認してきた。CPUの性能についてはD510と330ではそれほど大きな違いは無いが、グラフィック性能、特にWindows エクスペリエンス インデックスの結果からもわかるようにWindows Aeroに対するグラフィック性能の改善は大きい。「GMA950」では厳しかったWindows 7のAero環境がなんとか利用できるレベルになっている。
また、これまでのAtom環境で弱点となっていたチップセットの消費電力も大幅に低減されている。性能が向上しているにも関わらず、システム全体で50W程度のプラットフォームで10W以上の消費電力の削減に成功している。
「BOXD510MO」と「D945GCLF2」との比較という意味では、メモリスロットが2スロットになり最大搭載メモリも2GBから4GBに増えている点が大きな改良点だ。AtomプロセッサはEM64Tに対応しているため64bitOSを利用すれば4GBをフルに利用することができる。
そして、筆者が一番魅力を感じたのはファンレスによる静音性だ。「D945GCLF2」のチップセットFANは6000rpmと高速なため非常に耳障りだが、「BOXD510MO」には一切ファンが付いていない。今回はテスト環境にSSDを利用しているため電源を入れてもほとんど音がしない。そのため、ディスプレイにBIOSが表示されるまで起動しているのかがわからないほど静かだった。
1つ残念なのはSATAポートが2つのままだったことだ。2ポートだと起動用のドライブと光学ドライブを接続するとそれでいっぱいになってしまうため、SATAポートを増やしたサードパーティ製のマザーボードにも期待したい。
なお実売価格は「BOXD510MO」が8,500円前後、「BOXD410PT」が7,000円前後になるようで、「D945GCLF2」の実売価格とそれほど大きな差が無い価格で登場するようだ。正直シリアルポートやパラレルポートが不要ならば積極的に「D945GCLF2」を購入するメリットは無く、一気に新型Atomプラットフォームが普及していくだろう。