エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.25
2010.01.11 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota
「PRO87+」、「MODU87+」で謳われているDHT(Dynamic Hybrid Transformer)テクノロジとは、端的に言えば、スイッチングをより細かく制御することで効率をあげるものだ。
例えば、「PRO87+」では、Dynamic AC Boostingと呼ばれる回路を搭載している。一般的な電源ユニットでは、一次回路にて電圧を昇圧し、350V前後の一定の電圧を発生させている。しかし、「PRO87+」や「MODU87+」では負荷が低い場合は340V、高い場合は380Vに上げることで効率を高めているのだ。
またDynamic Frequenciesでは二次回路で行われるスイッチング周波数を75/100/150Hzと切り換えることで負荷に応じて最適なスイッチングを行っている。これも普通の電源ユニットでは75Hz前後で一定の周波数でスイッチングするのが普通であり、3段階にて切り換えるタイプは珍しい例だ。
このほか、大きなトランスではロスが大きくなる+5VSB出力を専用のトランスを搭載することで、サスペンドなどの省電力モードに移行した際の電力ロスを抑えるといった工夫が施されるなど、様々な高効率化が行われている。これらを称してENERMAXはDHTと呼んでいるわけだ。
このほか、ZERO LOADデザインと呼ばれる次世代のC6パワーセービングにも対応している。これは従来のC3やC4といったステートから、さらに省電力なモードを実現するものだが、C6ステートをサポートするデスクトップ向けCPUには、Core i7シリーズがある。Core i7シリーズのCPUを利用しつつ、パワーセービング機能を積極的に使いたい場合、PRO87+や、MODU87+は最適な選択肢となるだろう。
いつものとおり、筆者オリジナルの抵抗負荷を用いて効率を求めてみたい。テストに用意したPCの構成は以下のとおり。
CPU | Intel Core 2 Quad Q9550/2.83GHz |
M/B | ASUSTeK Computer Rampage Formula(Intel X48 Express) |
VGA | ASUSTeK Computer EN9800GT MATRIX(GeForce 9800 GT) |
Memory | PC2-6400 DDR2 SDRAM 2GB×2 |
HDD | Western Digtal WD740GD(10,000rpm/74GB/SerialATA) |
DVD | GGW-H20N |
OS | Windows 7 |
P/S(1) | A社 700W電源(非80PLUS) |
P/S(2) | B社 850W電源(80PLUS SILVER) |
今回は、いつもテストで使用するA社の700W電源ユニットに加えて、B社の850W電源ユニットを比較に用意した。この電源ユニットは80PLUS SILVERを取得しており、80PLUS GOLDのPRO87+とどのくらい差が出るのかがチェックポイントとなる。
テストは、OS起動後10分放置したアイドル状態、そして負荷として、OCCTを使ってCPU負荷およびGPU負荷をかけた状態の消費電力をワットチェッカーで測定した。
さらにOSがアイドル状態にて、自作の抵抗器を繋ぎ、順に7A、12A、16A、25A、28A、33Aの負荷をかけ、このときの消費電力を測定している。またOCCTにてGPU負荷をかけた状態にし、この状態に抵抗器で28Aまたは33Aの負荷を掛ける。この状態を2分間維持した時点でテスト終了としている。このシステムでは、33Aの抵抗を接続した時点で396Wの追加負荷かけることができる。