エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.26
2010.01.18 更新
文:GDM編集部 池西 樹
最近のIntel製CPUはオーバークロック耐性が高い点も特徴となっている。今回最後におまけとしてオーバークロック動作についても確認してみた。
特別な調整をしなくても今回のCPUでは4.2GHzまでオーバークロックできた |
「CINEBENCH1」によるベンチマーク結果ではクロックどおりほぼ5割の性能アップとなった。
今回はコア電圧を変更せずにオーバークロックをしたにも関わらず、消費電力は20W~30Wと大幅に増えた。コア電圧を変更すればさらにオーバークロックが可能かもしれないが、その場合は冷却に注意する必要があるだろう。
今回使用しているマザーボードは廉価版のMicro ATXサイズということで決してオーバークロック向けのマザーボードではないが、BIOSには一通りのオーバークロック設定がある。今回は定格電圧のままでオーバークロックを試してみたが、BCLK 200MHz、CPUクロック4.2GHzまではOCCTで1時間の負荷チェックもクリアできた。
「Core i7」や「Core i5」では×32と×36しか設定できなかった「QPI Clock Ratio」が、「Pentium G6950」では×12から×36までの範囲で×4ごとに選択できるようになっているため、BCLKに対して低めのQPI Clockの設定が可能となっている。さらに、「Hyper-Threading機能」や「Turbo Boost機能」が付いていないため、「Core i7」や「Core i5」と比較するとオーバークロックがしやすい印象を受けた。
「Pentium G6950」と「Athlon II X2 240」について比較してきた。CPUの性能に関しては概ねすべてのベンチマークで「Pentium G6950」が2割程度高速で、消費電力も少なく、後発製品の面目を保つ結果となった。
一方、グラフィック機能については「Pentium G6950」ではGPUクロックが533MHzになっていることが影響し、「AMD 790GX」の約6割程度だった。「Core i5-661」のレビューから、もう少しいい勝負をすると思っていたが残念な結果である。よって、CPU性能ならIntel環境が優れているが、グラフィック機能を含めたプラットフォーム全体で考えるならば、AMD環境をお勧めしたい。
今回テストした「Pentium G6950」と「Core i5-661」のレビューから推測すると700MHz動作の「Intel HD Grahpics」でも「AMD 785G」と同程度、または少し下回る性能と思われる。「Windows 7」のAero環境なら問題無いが、3Dゲームをやるには厳しい性能だろう。
一方で、GPUクロックが下がっていることで、消費電力は大幅に削減され、アイドル時で40W前半、フルロード時でも今回のテスト中100Wを超えることは一度もなかった。
ただ、このことは「Intel HD Graphics」で性能を上げるには、消費電力を犠牲にしてもクロックを上げる必要があったとも解釈できるだろう。これは「Core i5-661」のTDPだけ87Wになっていることからも明らかで、「Core i5-661」はグラフィック性能を上げるためにかなり無理をしている印象を受けた。「Pentium G6950」の消費電力で「Core i5-661」並のグラフィック性能は欲しかった。
今回のレビューでは「Clarkdale」の最大の売りであるはずのグラフィック機能をCPUに取り込んだメリットが感じられなかった。これであれば、今まで通りマザーボード上にグラフィック機能があったほうがよかったと思う。
とはいえ、CPUへのグラフィック機能の統合は今後も続くため、Intelにはグラフィック機能の高性能・省電力化と物理4コアのラインアップ、そして、正直なことを言えば、グラフィック機能を削除し価格を下げたCPUの登場を強く望みたい。