エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.39
2010.05.05 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
ベンチマーク用テスト台といえばオープン型スタイルとなるワケだが、そのメリットとしてパーツの付け替えが楽な事は言うまでもなく、熱籠もりしにくい点が挙げられる。そのスタイルから排熱用ケースファンは不要になるが、だからと言ってまったくファンがいらないという事もなく、場合によっては必要となるだろう。
考えられるケースとしては、オーバークロック用途のベンチマークテスト時だ。「Bench/Test Table」はやみくもに大型サイズが採用されているのではなく、オプションのファンステイ搭載スペースが用意されている事で、CPUソケット部、拡張ボード部、メモリスロット部、そしてフレキシブルアームにより任意箇所に風をあてる事が可能なファンブラケットにより、4基の120mmファンが搭載できるようになっている。液体窒素を使用するヘビーなオーバークロックは別として、純粋に空冷でオーバークロックを楽しみたいというユーザーとって、より多くのエアフローを生み出す事ができる「Bench/Test Table」は最適な1台ではないだろうか。
L字に曲げられた120mmファンステイ。その高さからCPUソケット部に上から風を吹き付けるためのもので、パッシブヒートシンク使用時やトップフロータイプのアシストなどに効果が期待できる |
メモリスロット部を上から冷却させる120mmファン用ステイ | こちらも120mmファン用のステイで、横から拡張ボードを冷やす事ができる。まさに至れり尽くせり |
画像右の蛇腹(フレキシブル)と組み合わせて使用する120mmファン用ブラケット。これを使う事で任意の角度(箇所)にて風をあてる事ができる。なおファン固定用ネジはM4×45mmで、ナット留め |
120mmファン3基をATXマザーに覆い被せるようにレイアウトさせると、このように超エアフロー環境を構築する事ができる。ドラムセットさながらの様相は、「Bench Test/Table」の特徴のひとつと言えるだろう |
巨大な外装箱から姿を現した大型ベンチマーク用テスト台「Bench Test/Table」は、なかなか魅力的な製品だった。
一部繰り返しとなるが、ベンチ台の定義は簡単にパーツの付け替えができる“簡易的”なものであるはずが、「Bench Test/Table」のようにHTPCケースさながらのモデルも有って良いのではないだろうか。防塵の問題もあって、これをメインPCとして使用するには抵抗感を抱くかもしれないが、それを選択するのは自由だ。もちろんメーカーではそのような使用方法は想定されていないかもしれない。しかしながら、安価なPCケースよりも確実に質感および工作精度も高く、ちょっと使ってみたいと思わせるには十分な素質の持ち主であった。
イタリアというPCパーツではまだ未知の国から届けられた「Bench Test/Table」。“簡易”ではないベンチ台として確かな存在感を感じる事ができたのは大いなる収穫だった。ここは想像だが、恐らくDIMASTECH SYSTEMS SNCは自作PCを熟知したSTAFFの集まりなのではないだろうか。その理由は“欲しいものを形にした”という雰囲気を久しぶりに製品から読み取る事ができたからだ。だとすれば、今後どのようなPCパーツを用意してくるのだろうか。今後の展開にも期待しつつ、同社が日本国内上陸にも意欲的なだけに、“ギャンブル”に打って出る国内代理店の出現を心待ちにしたい。