エルミタ的「一点突破」CPUクーラー編 Vol.15
2011.02.10 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
100mmファン4基搭載+ダブル・ブロック構造放熱フィン、φ6mm×12本のヒートパイプで構成される超大型CPUクーラー「スサノヲ」。桁外れなスペックから冷却能力が大いに期待されるわけだが、大型なりにある程度の代償は覚悟しなければならないようだ。
ここではあらかじめサイズの製品情報サイトに掲載されている「事前注意点」を把握しておくことにしよう。
ハイエンド志向の「スサノヲ」をチョイスする自作ユーザーの多くは2Slot占有の補助電源コネクタ付きグラフィックスカードを使うはずだ。その場合気をつけなければならないのが“補助電源コネクタ方向”で、サイズではドライブベイ側にコネクタがあるグラフィックスカードが推奨されている。もちろんこれ は「スサノヲ」のファンとケーブルが物理的干渉を起こす可能性があるためだ。
装着テストとして、敢えて補助電源コネクタがサイドパネル側となる「SAPPHIRE HD6970 2G GDDR5」(型番:21179-00-40R/幅111mm)にPCI-Express電源ケーブルを挿してみたところ、事前にケーブルを曲げておくことで比較的無理なく収める事ができた。
またこれだけに留まらず、リファレンスボード(PCB)搭載のVGAクーラーの高さを超えてしまうヒートパイプを採用するグラフィックスカードは放熱フィンとの物理的干渉の可能性が非常に高いとされ、“条件付き”で注意喚起がなされている。
なお「SAPPHIRE HD6970 2G GDDR5」と「スサノヲ」間の空きスペースは実測値で15mmだった。
装着テストに使用したCORSAIR「CMZ8GX3M2A1600C9」の公称値高は52mmだが、「スサノヲ」のヒートシンク下部とメモリ間にはまだ約40mmのスペースが残されている。トップフロー型CPUクーラーの利点として、全てでは無いにせよメモリを選ばない点が挙げられる。さらに「スサノヲ」の場合は、システムファンとしての役割をも果たすため、グラフィックスカード高以上の“かさ上げ”が必要となる事から、おのずとメモリ高は問題としない。
大型CPUクーラーの代償として最も致命的とも言えるのが、搭載できるPCケースを選ぶという点。100mmファン4基によるCPUクーラーとしては常識外れとも言える面積、それだけでなく、グラフィックスカードサイズを超す全高により、PCケースのサイドパネルと物理的干渉を起こす可能性を留意しておかなければならない。
サイズでは「スサノヲ」の使用について、注意喚起とも言える「前提条件」を事前に開示している。
(1)については、全高160mmの「スサノヲ」は、PCケース幅200mmを最低条件としており、サイドパネル部にパッシブダクトが装着されているモデルは搭載ができない。また実際に200mmのPCケース幅があってもサイドパネルに大型吸気ファンが装着されている場合は注意が必要になるだろう。モデルによって“どうにか収まった”という場合でも、「スサノヲ」に搭載されるファンの吸気スペースがある程度なければ十分なエアフローを生み出すことができず、気流が乱れる事で思わぬ異音が発生する事も考えられる。
(2)については、マザーボードの固定ネジ穴2段目(下図参照)の水平列が「スサノヲ」本体に覆い被されてしまうため、ネジの締め付けができない。そのために「プラスチックスペーサー」(ミリ用/インチ用)が付属されており、これが使用できるPCケースであればマザーボードの正常な固定が可能となるわけだ。
ちなみに裏技としてCPUクーラーメンテナンスホールを利用し、マザーボードを固定した後に「スサノヲ」を後付けするという方法が残されている。ただし その場合、ソケット位置とCPUクーラーメンテナンスホールの大きさにも注意する必要があり、さらにどう頑張っても1人では作業できないため、2人掛かりで取り付けを行う必要がある。
なおサイズでは、「SUSANOO+サイズ取り扱いPCケース適合表」なる取り付け可否が掲載されているので、参考になるだろう。