エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.161
2012.08.01 更新
文:GDM編集部 池西 樹
CPU系ベンチマークの確認が終わったところで、ここからは3D Mark系ベンチマークで3D性能を確認していこう。まずはDirectX 11世代の「3DMark11 Version 1.0.3」だ。なおプリセットには「Performance」を使用している。
Opteron 3280はこちらでもかなり健闘し、CPU性能が影響するPhysics ScoreとCombined Scoreでは965と同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮。1090Tとの比較でもその差は約10%で、ゲームPCでも十分使えるレベル。一方、Opteron 3250HEは、いずれも6割前後まで落ち込み、総合スコアも唯一4000を切る結果。重量級のゲームをやるには少々心許ない。
次にDirectX 10世代のベンチマークソフト「3DMark Vantage1.1.0」でも測定を行った。ちなみにプリセットは「3DMark 11 Version1.0.3」同じ「Performance」を使用している。
CPU SCOREを確認すると、Opteron 3280は1090Tには届かないものの、965は約15%上回る。一方Opteron 3250HEは965との比較でも7割程度の性能で、他のCPUから大きく引き離されている。
またOpteronではGPU SCOREがPhenom系に比べて20%以上低下する現象がみられた。何度か測定を繰り返したが結果が変わらないことから、CPUがボトルネックになっていると思われる。実際3D系アプリケーションやゲームでは、マルチコアへの最適化が進んでいない事も多く、そういったアプリケーションを多様する場合には注意が必要だ。
最後にOCCT 4.3.1を使用して、コア温度と消費電力を確認していくことにしよう。ちなみに今回検証に使用したOpteronにはCPUクーラーが付属しないため、CPUクーラーは1090T付属のリテールクーラーで統一。室温は27度で空調は使わず測定を行った。
まずコア温度だが、アイドル時はOpteron 2モデルがいずれも42℃で965より2℃、1090Tより4℃低い結果。さらに高負荷時はOpteron 2モデルが50℃台で収まっているのに対して、965では60℃、1090Tでは69℃まで上昇し大きな差がついた。特にOpteron 3250HEは高負荷時でも50℃と、アイドル時から温度上昇が小さい点は注目したい。
次に消費電力を確認していこう。Opteron 3250HEとOpteron 3280を比較するとアイドル時は9W、高負荷時は14.7WでTDPに近い差を確認できた。またPhenomとの比較では、パフォーマンス的に近いOpteron 3280と965でアイドル時は10.2W、高負荷時は76.5Wの差がついており、Opteronの優秀さが光る結果となった。
今回は、Socket AM3+のハイエンドマザーボード「990FX Extreme4」に省電力Opteron 2モデルを搭載して動作検証を行なってきた。正式対応が謳われていない以上、あくまでも自己責任となるが、検証した限りではOpteron 3280のTurbo Coreクロック以外に気になる点は見当たらない。
特にOpteron 3280との組み合わせは、パフォーマンスと消費電力のバランスもよく、AMD FXの消費電力の高さから導入を躊躇していたユーザーにもおすすめできる。また、豊富なSATA3.0(6Gbps)ポートを活かした、高速ファイルサーバーやストリーミングサーバーを考えているなら、Opteron 3250HEが最適。元々サーバー向けCPUという安心感に加えて、「990FX Extreme4」ではVRM/チップセットの強力な冷却機構や日本製の高品質ゴールドコンデンサの採用もあり、常時起動マシンでも耐久性に不安はない。
近頃、Socket AM3+プラットフォームそのものに少々設計の古さを感じざるを得ない。しかし「990FX Extreme4」は、追加コントローラや独自UEFIの搭載でフォローされ、さらに豊富なレガシーインターフェイスを備えることで、幅広いニーズに対応する懐の深さも備えた、なかなか面白いマザーボードに仕上がっている。