高速インターフェイスThunderboltと新品質規格「Ultra Durable 5」という2つの新たな技術を採用したGIGABYTEの意欲作「GA-Z77X-UP5 TH」がついに登場した。今年のCOMPUTEX TAIPEI 2012のGIGABYTEブースでも多くのメディアから注目を集めていたこのモデルの発売を心待ちにしていたユーザーも多いだろう。
そこで今回は、GIGABYTE TECHNOLOGY(本社:台湾)日本法人、日本ギガバイト株式会社(本社:東京都千代田区)より、発売されたばかりの「GA-Z77X-UP5 TH」を借り受け、生まれ変わったGIGABYTE製マザーボードの実力をじっくりと堪能してみることにしよう。
世界初デュアルThunderboltで他社と差別化を図るGIGABYTE
片方向最大10Gbps(双方向20Gbps)の高速転送を実現するThunderboltポート。コネクタ形状はmini DisplayPort互換でディスプレイ出力にも対応
今回検証する「GA-Z77X-UP5 TH」を語る上で外せないキーワードに「Thunderbolt」と「Ultra Durable 5」がある。そこで製品の紹介に入る前にこれら2つの技術について、簡単に紹介しておこう。
Thunderboltは、インテルとアップルが共同開発した高速伝送技術で、DisplayPortとPCI-Expressをベースに、USB3.0を上回る片方向最大10Gbps(双方向20Gbps)の高速転送を実現。さらにデイジーチェーンによる最大6台の周辺機器と1台のディスプレイ接続に対応する汎用性の高さを特徴に持つ。
また昨年2月よりアップル製品で先行採用され、最近ではWindowsプラットフォームでもASUSTeKやMSIの上位マザーボードを中心に普及が進んでいる。GIGABYTEでは、より高い認証基準とテスト期間が要求される上位チップを採用。そのため他社より発売がやや遅れたが、世界初のデュアルThunderboltを実現している。ちなみにGIGABYTE製マザーボードではThunderbolt搭載マザーボードは型番の後ろに「TH」が付加されているため簡単に区別することができる。
GIGABYTE製マザーボードではThunderboltをデュアルポート構成にすることで、最大12台のストレージを搭載できる
IR社の「IR3550 PowIRstage」採用でオーバークロック耐性を大幅に向上させた「Ultra Durable 5」
GIGABYTEの新品質規格「Ultra Durable 5」に準拠する「GA-Z77X-UP5 TH」。「IR3550 PowIRstage」採用で電源周りの発熱が大幅に低減している
次にもう1つのキーワード
「Ultra Durable 5」について説明していこう。こちらは
COMPUTEX TAIPEI 2012で正式発表されたGIGABYTE の新品質規格。2オンス銅箔層、アルミ固体コンデンサ、グラスファイバー繊維基板など、「Ultra Durable 4」の優れた機能を継承しつつ、一般的なマザーボードで採用されている「Driver IC」「High side MOSFET」「Low side MOSFET」の代わりに、これらの機能を1パッケージに統合した、International Reactifier(以下IR)製ICチップ「IR3550 PowIRstage」を採用している点が最大の特徴だ。
ちなみに「IR3550 PowIRstage」では、単純に機能を統合するだけでなく、内部抵抗とゲート電荷が小さい最新MOSFETの採用や、独自チューニングを施した専用ドライバICを組み合わせることでチップの効率を高め、最大95%という電源効率と60Aの高出力を実現。これによりCPU周りの発熱を抑え、大幅な長寿命化とオーバークロック耐性の更なる向上を可能にした。なお「Ultra Durable 5」に準拠した製品は、既存の「UD」からPowerを表す「UP」へと型番も変更されている。長らく採用していた「UD」をあえて変更したのは、GIGABYTEの「Ultra Durable 5」に対する自信の現れといったところか。
「Ultra Durable 5」のキモとなるIR社の「IR3550 PowIRstage」
COMPUTEX TAIPEI 2012で行われていた温度比較デモの様子。既存MOSFET構成のマザーボードに比べて発熱が抑えられ、エアフローに難がある水冷システムにもその利点を発揮してくれるだろう