エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.162
2012.08.04 更新
文:GDM編集部 池西 樹
次に「Ultra Durable 5」で強化されたというオーバークロック性能を確認していこう。今回はGIGABYTEのオーバークロックユーティリティ「EasyTune6」の3つのプリセットと、手動で倍率とコア電圧を変更してどこまでオーバークロックが可能なのかチェックすることにした。
今回のテストでは「EasyTune6」のプリセットはすべてクリア。さらに電圧を調整しつつ上を目指したところ4.90GHzまでは、CINEBENCH R11.5の完走を確認できた。ちなみに5.00GHzまで上げてしまうと、OSの起動は問題ないものの、CINEBENCH R11.5がどうしても完走せず、今回は残念ながら断念した。ちなみに4.90GHz動作時はCPUコア電圧を定格から+0.210V引き上げているが、MOSFETのヒートシンクはほとんど熱くなっていなかった。
続いてオーバークロックの効果を確認するため「CINEBENCH R11.5」のスコアを測定してみることにした。
プリセットの最高クロック4.68GHzと定格を比較するとシングルコアで約14%、マルチコアで約25%スコアが向上され、簡易オーバークロックでは十分な結果。また手動調整の最高クロック4.90GHzとの比較ではシングルコアで約26%、マルチコアで約31%スコアが向上され、CINEBENCH R11.5に登録されている6コアCPUとも対等に渡り合えるパフォーマンスを発揮する。
「EasyTune6」のプリセットを含め、今回のオーバークロックではすべてコア電圧も調整されている。そこでオーバークロックによってどの程度消費電力が増加するのか確認しておこう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、高負荷時は「CINEBENCH R11.5」を動作中で最も高い値とした。
アイドル時は拡張版Intel Speed Stepテクノロジーにより、CPUクロック、コア電圧とも同等レベルまで下げられほとんど違いはない。ただし高負荷時は、オーバークロックによって大幅に消費電力が増え、+0.210Vの4.90GHz動作では、定格の105.6Wからダブルスコアを超える231.1Wまで上昇している。性能と消費電力のどちら重視するかは難しい問題だが、基本的に低負荷での利用が多いなら4.90GHz動作でも現実的な選択となりそうだ。ただし、比較的負荷の高い状態が続くなら、4.68GHzや4.43GHzあたりで消費電力とのバランスを考えた運用を検討したほうがいいだろう。
“デュアルThunderbolt”と「Ultra Durable 5」という2つの新しい技術を搭載して、デビューした「GA-Z77X-UP5 TH」。オーバークロックについては、正直CPUの耐性も重要となるため一概に結論づけることはできないが、今回の検証ではこれまで1度も5.00GHzまで上げることのできなかったCPUで、OSの起動ながら5.00GHzの大台を突破。4.90GHzではCINEBENCH R11.5ベンチマークテストを完走するなど、確実に耐性は向上している。
そしてなにより“オーバークロック時の破損保証”という免罪符もついていることから、オーバークロック目的なら文句なくオススメできる。
一方、Thunderboltについては、HDDでUSB3.0との性能差を体感するのは難しく、周辺機器が出揃っていない現状ではやや時期尚早な印象は致し方ない。しかし対応マザーボードが増え、安価なThunderbolt対応SSDやRAIDドライブが数多く登場してくれば一気に状況が改善されることから、今後ぜひ周辺機器の充実に期待したい。