エルミタ的「一点突破」CPUクーラー編 Vol.27
2012.08.13 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
前置きはさておき、「SST-HE01」の本体からじっくりチェックしていくことにしよう。
サイドフロー型CPUクーラーは実にライバルが多い。マザーボードレイアウトの制約上、そのスタイルはどれも似通ってしまうワケだが、「SST-HE01」は2つの独立したヒートシンクを6本のヒートパイプでツインタワー型にレイアウトし、その隙間に140mm口径冷却ファンを搭載させた。これは高冷却で定評のThermalright「Silver Arrow」や、ZALMAN TECH「CNPS14X」等と共通したスタイル。同一コンセプトだけに「SST-HE01」もアッパークラスの定番CPUクーラーに名を連ねる事ができるだろうか。
側面から見ると、ツインタワーの左右幅の違いが分かる。片方を薄型にした理由は、CPUソケットと隣接するメモリスロットの干渉を回避するため。実際にどれほどのクリアランスが確保されているかは、後ほどチェックしてみたい
トップ面から眺めると、ヒートパイプのレイアウトがよく分かる。薄型フィン側は横一列、厚いフィン側はM字配列が採用され、放熱フィン全体に熱を拡散させるように設計。なお対応TDPはメーカー公称値で300Wとされている
ワイヤーで固定された140mm口径ファンを外し、ヒートシンクのみにフォーカスしてみよう。
銅製受熱ベース部と銅製ヒートパイプは、アルミニウム放熱フィンと同色のニッケルメッキ処理が施され、見た目の一体感は工作精度の高さをアピール。PCケースの中に収められてしまうCPUクーラーだが、製品の外観にもこだわりが見て取れる。
ニッケルメッキ処理が施された銅製受熱ベースとφ6mmヒートパイプ。いわゆるダイレクトタッチ式ではなく、工作精度と密着率が冷却能力を左右する従来型のオーソドックスな手法を採用している。ちなみにアッパークラスの高冷却を謳うCPUクーラーの多くは、ヒートパイプ・ダイレクトタッチ式を選択しない。受熱ベースがしっかりと熱を吸い上げ、高い密着でヒートパイプに伝導させる事は、ダイレクトタッチ式より難しい。しかし、一体成型であるかのような精度が出せれば、ダイレクトタッチ式に勝る受熱→熱移動ができると言う。“小手先の手法は敢えて選択しない”と言わんばかりの主張は、細部に目を向けることで見えてくる。
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