エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.165
2012.08.26 更新
文:テクニカルライター 藤田 忠
テストは、「PV38G186C9K」の定格となるPC3-15000(1866MHz)と比較用のPC3-12800(1600MHz)に加えて、今回借り受けた製品で動作したPC3-16000(2000MHz)状態で実施している。
通常、いきなりのオーバークロックは行なわないのだが、Viper IIIシリーズのラインアップを見ると、同じメモリチップ、生産ラインを耐性ごとに選別して製品化している気配が濃厚。それなら、上位モデルのPC3-17000(2133MHz)は無理でも、設定と電圧次第では結構伸びるかもと試した次第だ。定番メモリチェックツール「Memtest86+」の10Passには、1.65Vが必要になったが、PC3-16000(2000MHz)のCASレイテンシCL10-10-10-24-3Tでの安定動作が可能だった。すべての個体が同じクロックで動作する保証は一切ないが、手ごろな価格の製品をオーバークロックしてワンラク上の性能を引き出すのは、自作PCならでは。もちろん、過電圧による寿命の短縮や保証が受けられなくなどのデメリットはあるが、興味のあるユーザーは試してみよう。
3つの速度で性能を計測。PC3-16000(2000MHz)以外は、SPDのCASレイテンシ設定で行なっている |
ベンチマークソフトには、CPUやメモリなどの性能を測定できるSiSoftware「Sandra 2012」と日常的な作業でPC性能を測り、独自基準のスコアで表すFuturemarkの「PCMark Vantage」をチョイス。さらに実アプリケーションに、CPU内蔵GPUでも遊べる人気MMORPGの「Diablo III」とRAWデータを現像するAdobe「Photoshop Lightroom 4」を用意して、メモリ速度の違いによる性能を見てみた。
まずは「Sandra 2012」の「Memory Bandwidth」と「PCMark Vantage」のスコアーを計測。メモリ帯域を測る「Memory Bandwidth」はメモリ速度に応じて、しっかり数値は伸びているものの、「PCMark Vantage」では、CASレイテンシやtRAS、Command Ratといったメモリアクセスタイミングの違いが影響してか、システム全体の「PCMark Suite」とメモリをテストする「Memories Suite」の両方ともPC3-15000(1866MHz)動作時は、PC3-12800(1600MHz)より下回るスコアーになってしまった。さすがにPC3-17000(2000MHz)動作では、動作クロックに400MHzの差があるので、メモリアクセスタイミングの差を補っているが、今ひとつの性能差なのは同じだ。
元々メモリはCPUやGPUと比べると、100MHz単位での性能向上率が低いが、数百円とはいえ高価な分は、性能が勝ってほしいのがユーザー心理だ。本命は実アプリケーションによる性能差だが、ベンチマークソフトで性能差が出ないとテンションが下がるのは、筆者だけではないだろう。