エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.166
2012.08.27 更新
文:GDM編集部 池西 樹
次に「GV-N66TOC-2GD」に搭載される「WINDFORCE X2」クーラーの実力をチェックしていくことにしよう。今回は「GPU-Z 0.6.4」を使って「3DMark 11 Version 1.0.3」ベンチマーク実行中のGPUコア温度とファンの回転数をそれぞれ計測した。なおテストは空調機器を止め、室温は28℃、バラック状態で行なっている。
アイドル時は省電力機能が働きクロック、電圧とも低下するため、いずれも35℃と非常に低く抑えられている。また高負荷時は定格クロックで68℃、オーバークロック状態でも71℃と、室温の高さにも関わらずしっかりと冷却できていることがわかる。
次に回転数だが、こちらはアイドル時は1,200rpm、高負荷時でも1,570rpmまでしか上がらず、高負荷時でもファンの騒音が気になることはなかった。さすがに注意して聞けば音はするものの、CPUクーラーの騒音のほうがはるかに大きく、ケース内に入れてしまえばVGAクーラーの騒音は完全にシャットアウトできるだろう。
最後にアイドル時と高負荷時の消費電力についても確認しておこう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い数値を、高負荷時は「3DMark 11 Version 1.0.3」ベンチマーク実行中最も高い数値とした。
アイドル時は69.2Wで、アッパーミドルのグラフィックスカードとハイエンドCPUの組み合わせではかなり低い数値。また高負荷時は定格クロックで251.1W、オーバークロック状態でも255.2Wとほとんど差がつかなかった。
もともとTDPに余裕がある場合「GPU Boost」によって動作クロックや電圧が調整されてしまうため、GTX 660Tiではオーバークロックモデルでも消費電力については、それほど神経質になる必要はなさそうだ。ただし、実際のリファレンスモデルではもう少し差が付く可能性があることは付け加えておきたい。いずれにせよ、高負荷時でも260Wを下回っており、電源ユニットにはかなり優しいグラフィックスカードとなっている。
Kepler初のミドルレンジ向けGPU GeForce GTX 660Tiは、フルHD解像度までなら高画質設定でも十分なパフォーマンスを発揮しており、よほど高解像度にこだわらない限り性能が不足することはないだろう。また消費電力の面でも優秀で、CPUの省電力化と合わせてゲーマーが電源容量不足やPCの発熱に悩まされる心配は大幅に軽減される。
そんな中でも今回紹介した「GV-N66TOC-2GD」の扱いやすさは群を抜いている。特に静音性と冷却性能を高いレベルで両立させた「WINDFORCE 2X」は秀逸。コスト的に余裕のあるハイエンドと違い、価格的な制約も多いミドルレンジではアイドル時こそ静音ながら、高負荷時は騒音が気になる製品もある中、終始静かで確実に冷却を行ってくれる。また定格から1割以上の高いオーバークロック設定により、リファレンスモデルと比較して概ね5~6%高いパフォーマンスを発揮する点も見逃せない。最近では、オーバークロックツールが多数用意され、ユーザー自身によるチューニングも可能だが、やはり標準でオーバークロックされている安心感は大きい。
「GV-N66TOC-2GD」はパフォーマンス、静音性、冷却性能の相反する3つの項目を満たしてくれるアッパーミドルとして、多くのゲーマーを満足させてくれるだろう。