エルミタ的速攻撮って出しレビューVol.170
2012.09.01 更新
文:GDM編集部 池西 樹
今回のテストでは倍率設定のみは44倍、4.40GHzまで。さらに電圧を調整しつつ上を目指したところ倍率48倍、BCLK100.8MHzの4.837GHz(以降4.80GHz)までは、CINEBENCH R11.5が完走した。ちなみにこれ以上倍率をあげると、1.5000Vまで電圧を上げてもCINEBENCH R11.5が完走せず断念することにした。ちなみにOSの起動だけなら倍率50倍の5.00GHzでも可能だったことを付け加えておく。
定格動作時はTurbo Boost機能で3.90GHzまでコアクロックが上昇 |
「OC Genie」を有効にした場合。4.20GHzまでオーバークロックされた |
倍率設定のみ変更した場合。4.40GHzまでオーバークロック可能 |
電圧やBCLKを設定したところ4.837GHzまで安定動作が可能 |
OSの起動までなら5.000GHz動作も確認できた |
「Control Center」によるオーバークロック動作が確認できたところで、その効果を「CINEBENCH R11.5」を使ってチェックしていこう。
CINEBENCH R11.5によるベンチマーク結果 |
「CINEBENCH R11.5」はCPUの性能がリニアに影響するベンチマークということで、「OC Genie」による簡易オーバークロックで約10%、手動調整の最高クロック4.80GHzでは約26%と大幅にスコアが向上している。特に手動調整によるオーバークロックでは、CINEBENCH R11.5に登録されている6コアXeonに手が届くレベルまでパフォーマンスがアップし、動画エンコードや3Dレンダリングではその力を遺憾なく発揮してくれるだろう。
続いてオーバークロックによって、どの程度消費電力が増加するのかチェックしておくことにしよう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、高負荷時は「CINEBENCH R11.5」動作中で最も高い値とした。
CPUのオーバークロックによる消費電力の違い |
アイドル時の消費電力を確認すると定格や4.4GHz動作ではいずれも48.9Wと、非常に低く抑えられている。電源フェーズが16フェーズと多いにも関わらずアイドル時はフェーズコントロール機能がしっかりと働き、省電力性にも優れる点は注目だ。一方で「OC Genie」や手動設定では省電力機能がOFFになるため、アイドル時でも消費電力が下がらず高めで推移している。
また高負荷時はコア電圧がAuto設定の4.4GHzまでは、それほど消費電力が増加せず十分実用的な範囲内で収まっている。しかし、1.4350Vまで電圧を上げた4.8GHz動作では86.4Wも増加し、通常運用を考えるならCPU倍率の変更によるライトなオーバークロックがオススメだ。
CPUの耐性も関わるため、安易に結論を出すのは難しいが、OSの起動なら5.0GHz超え、CINEBENCH R11.5ベンチマークテストでも4.8GHzを超えるなど、検証でオーバークロック耐性の片鱗をしっかり確認することができた。さらに基板上に用意された多彩なオーバークロック機能や、機能が向上した「Control Center」など、オーバークロック向けの謳い文句に恥じない出来と言っていいだろう。
またMSIマザーボードの特徴の1つである、高い省電力性もしっかりと引き継がれている点にも注目したい。オーバークロック向けやハイエンド向け製品では、とかく消費電力が蔑ろにされがちながら、「Z77 MPower」では優れたフェーズコントロールや高品質コンポーネントの恩恵により、既存マザーボードと同様の省電力性を確保。オーバークロックをしないユーザーにも高品質、高耐久マザーボードとして非常に魅力ある製品に仕上がっている。