エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.171
2012.09.07 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
ベンチマークに表れるスコアの上下だけがグラフィックスカードの良し悪しを決めるわけではない。本項では「N660GTX-Ti Twin Frozr IV PE OC」のパフォーマンスを支える「Twin Frozr IV」クーラーの挙動をチェックしてみよう。
「3DMark 11 Version1.0.3」実行中の最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時として、GPU温度とファン回転数を「GPU-Z 0.6.4」を使用して計測を行った。
結果はご覧の通り。出荷時クロックがわずかにGPU温度、ファン回転数ともに上回るものの、ほとんど同一といってよい。クロックアップの効果はベンチマークテストで確認済みなものの、それによる発熱上昇とファン回転数増加は極小レベルに抑えられているようだ。
さらにファン回転数は高負荷時でも42%ほどに収まっているため、「Twin Frozr IV」はかなりの余力を残していることが分かる。
最後に「N660GTX-Ti Twin Frozr IV PE OC」の消費電力も忘れずにチェックしたい。計測環境は上記と同様、「3DMark 11 Version1.0.3」実行中の最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時として、ワットチェッカーを用いた計測を行った。
等しく省電力機能が有効になるアイドル時は48Wと極めて低く、また違いも出なかった。高負荷時は出荷時スペックが若干増加したものの、基本的に無視できる範囲に留まっている。従来のモデルに比べ、「Kepler」世代のグラフィックスカードは全体的に電力要求がかなり緩くなっているという印象だ。容量を多少抑え目にして、同じ予算でより信頼性に優れた電源ユニットをチョイスするというのも悪くない選択肢だろう。
前評判通り、GeForce GTX 660Tiはこれまで定義されてきたアッパーミドルの範囲を超え、“ほぼハイエンド”といえる優秀なパフォーマンスを持っていた。フルHD解像度でも高画質設定を維持できる性能は魅力十分。一般的なゲームユーザーならばこれ1枚でほとんどの欲求がカバーされることだろう。メーカーが施したオーバークロックの効果も高く、同一クラス内における優位性も大きい。「N660GTX-Ti Twin Frozr IV PE OC」は、数あるGTX 660Tiラインナップの中でも正解になり得る選択肢だ。
しかし同時にGTX 660Tiがもつ価格面のジレンマも共有している。価格帯の重なる上位モデルや、近日中の登場が噂されるミドルレンジの下位モデルなど、“身内”を含めた多数の仮想敵がひしめく熾烈な戦場で生き残らなければならない。
そこであえて「N660GTX-Ti Twin Frozr IV PE OC」を手に取るユーザーにオススメしたいのは、自身の手によるさらなるパフォーマンスの追求だ。不要と思えるほどの巨大かつ堅牢なクーラーや、トップクラスの高耐久基板は、ただ“ツルシ”の状態で使うにはいささかもったいない。高いオーバークロック耐性という魅力的な財産を生かせれば、たちまちコストパフォーマンスに優れた“プチハイエンド”の出来上がりだ。