エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.173
2012.09.13 更新
文:GDM編集部 絵踏 一/松枝 清顕
スコア計測の最中でもしっかりと仕事を果たしていた「WIND FORCE 5X」だが、本項ではベンチマーク計測中の動作にフォーカスし、その冷却能力を確かめてみようと思う。
「3DMark 11 Version1.0.3」実行中の最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時として、GPU温度とファン回転数を「GPU-Z 0.6.4」を使用して計測を行った。
さすがにOCバージョンは計測中ファンを100%で稼働させていることもあり、回転数は10,830rpmと突出している。ただし他の2モデルが65℃あまりにGPU温度が向上しているのに比べ、こちらは54℃とかなり低い。かなりのクロック上昇を伴っているにも関わらず、「WIND FORCE 5X」にはまだまだ余裕があるということだ。さらに耐性が高いGPUを引き当てた場合でも冷却に問題が出ることは考えにくい。ただし5連ファンが奏でる音は想像通りのもので、例えケース内に収まっても耳に届くのは確実。パフォーマンスを突き詰める際は、その勇ましい音にも多少の寛容さをもって相対する必要がありそうだ。
一方で出荷時クロックとリファレンスクロックとの間には目立った差はなく、十分に許容範囲内。もちろん実際のリファレンスモデルとはさらに差が開くと思われるものの、GIGABYTEはなかなかバランスのよいチューニングを施してきたようだ。
最後は3パターンのスペックによる消費電力の違いをチェックしていこう。計測環境は上記と同じ、「3DMark 11 Version1.0.3」実行中の最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時として、ワットチェッカーを用いた計測を行った。
アイドル時はそれぞれ省電力機能が有効になるため、OCバージョンに若干の上乗せがある以外はほぼ同等。ただし高負荷時はクロック上昇に伴い消費電力もそれなりに増加をみせた。「OC GURU II」による「Power Target」設定はかなり余裕があるため、さらにクロックアップを狙う場合はある程度の消費電力増加は織り込んでおいた方がいいだろう。
「GV-N680SO-2GD」のように、とにかく馬鹿デカくて(かつ重く)爆速というコンセプトのハッキリしたモデルをいじるのは楽しい。正直一般レベルの思考ではいくつか不満も出るだろうし、そもそもここまで場所を取るような(かつ重い!)アイテムは選択肢に入らないだろう。しかしそれらの不満は、極限のパフォーマンスを狙うエンスーな強者にとってみれば全てがプラス要素だ。
代名詞といえる「WIND FORCE 5X」はその大きさに恥じない空冷最強クラスのパフォーマンスを発揮してくれたし、この製品にGIGABYTEが盛り込んできた技術と思い切りには素直に感心したい。グラフィックスカードとしての完成度はもちろん、秘められたポテンシャルとPCパーツの枠を超える存在感は購入に踏み切ったとしても満足のいくものだろう。
ただし唯一泣き所になる要素があるとすれば、市場での流通量の少なさかもしれない。秋葉原の各ショップにおいてもそもそもの入荷数が非常に少なく、発売からしばらくが経過した現状においても入手性が改善していない。高額なアイテムであることは言うまでもないが、求める層にとってはお値段以上の逸品。メーカーや代理店の各方面には、是非余裕のある取り扱いを期待したいところだ。