エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.174
2012.09.15 更新
文:GDM編集部 池西 樹
Intel純正CPUクーラーでも十分低い温度に保たれていた「IR3550 PowIRstage」だが、次にサイドフローCPUクーラー「峰2」を使用した場合の温度を確認していこう。ちなみに「峰2」にはPWMとVRの切替可能な140mm口径ファン「風丸2」が搭載されているが、今回はPWM最小帯域(500±250~1200rpm±10%)に設定して計測を行った。
定格クロックの結果を確認すると、直接風が当たらないCPUソケット上側のチップで測定しているにも関わらず、アイドル時、高負荷時ともIntel純正より温度が下がっている。特に高負荷時は3℃と比較的大きな違いが出ており、ヒートパイプがしっかりとその役割を果たしているようだ。
オーバークロック時の結果だが、アイドル時はまったく変化なし。高負荷時は1.6℃上昇しているが、それでも38.8℃と非常に優秀な結果。同時に測定しているMCHやSystemより確実に発熱は低く、常用レベルのオーバークロックなら電源周りの冷却を気にする必要はないだろう。
ちなみにCPUの温度は定格で最高64℃、オーバークロック時でも82℃とIntel純正CPUクーラーに比べると大幅に低く抑えられていた。
最後に水冷クーラーCORSAIR「CWCH60」を使用した場合の温度を確認していこう。水冷クーラーではどうしてもCPU周辺のエアフローが悪くなるが、実際にはどの程度影響があるのだろうか。
定格クロックの結果を確認すると、Intel純正CPUクーラーよりアイドル時で7.7℃、高負荷時で6.0℃温度が上昇。またMCHやSystemでは初めて50℃を超えており、エアフロー悪化の影響は確実にある。
続いてオーバークロック時の結果だが、Intel純正CPUクーラーよりアイドル時、高負荷時とも8.0℃温度が上昇し、こちらもエアフローの影響が見て取れる。ただし、それでも50℃を超えることはなく、運用上は特に問題にはならないだろう。
なおCPUの温度は定格で最高60.4℃、オーバークロック時で最高76℃と「峰2」よりもさらに低くなっていた。
今回は「Ultra Durable 5」の中心的存在「IR3550 PowIRstage」の発熱にスポットを当てて検証を行なってきた。室温も高く、ファンもリアのみとかなり厳しい条件にも関わらず、Intel純正CPUクーラーや「峰2」では、オーバークロック時でも40℃前後。水冷の「CWCH60」でも50℃を超えることはなかった。フロントやトップのファンを回転させることで、より良好なエアフローが得られることを考慮すれば、水冷環境でのオーバークロック運用もまったく不安はない。
またすべてのクーラーで、高負荷時は同時に計測したMCHやSystemより温度が低い点にも注目したい。直接ICチップの温度を計測する機会はあまり無いかもしれないが、「IR3550 PowIRstage」ではマザーボードMCHやSystemセンサーに注意していれば、温度を心配する必要はないだろう。
「IR3550 PowIRstage」の採用により“低発熱”と“安定した出力”という2つの武器を手に入れた「GA-Z77X-UP5 TH」は、より高いオーバークロックを目指すユーザーはもとより、安定性や耐久性を重視するユーザーにもぜひ検討して欲しい1枚だ。