エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.181
2012.10.20 更新
文:テクニカルライター・藤田 忠
NVIDIA GeForce GTX 660 Ti搭載グラフィックスカード 「GW GTX660TI 2GBD5 PHANTOM」 実勢価格29,800円前後 製品情報(株式会社エムヴィケー) |
前世代から大きく向上した3D性能はもちろん、優れたワットパフォーマンスや自動オーバークロック機能の「GPU Boost」などで、登場以来ゲーマーご用達の地位を不動のものとしているGeForce GTX 680のアッパーミドルとあって、注目を集めていたGTX 660 Tiは、8月16日の解禁と同時に数多くのオーバークロックモデルやオリジナルクーラー搭載モデルが各社から登場。秋葉原の一部ショップでは、ミドルクラスのグラフィックスカードとしては異例の深夜販売も行われた。しかし深夜販売での反響やその後の売れ行きは、アッパーミドルとしては割高感の否めない3万円を超える価格が影響して、高い注目度のわりに今ひとつになっていた。ただ、最近は全体的に値下がり基調になっており、発売当初3万円を超えていたオーバークロック&オリジナルクーラー搭載モデルが、3万円台を割り込んできているので、様子見していたユーザーも手が出しやすくなってきている。
「Battlefield3」と同じ、3Dエンジン「Frostbite 2」を使用する「MedalofHonor: Warfighter」(日本語版11月1日発売予定)の登場を控えた今こそ、多くのゲームを高解像度&高描画で快適プレイでき、コストパフォーマンスも悪くないアッパーミドルGPUのGTX 660 Ti搭載グラフィックスカードの購入を決断する良いタイミングだろう。
今回試すのは、冒頭で触れた通りGAINWARD製のGTX 660 Ti搭載オーバークロック&オリジナルクーラーモデルだ。メーカー名を聞いてもピンとこないユーザーも多いと思うが、GAINWARDは1984年に設立されたグラフィックスカード専業の台湾メーカーで、2008年ごろから秋葉原の主要ショップ店頭に並び始め、最近はGeForce系GPUを搭載するグラフィックスカードをメインに手がけている。自作PCパーツのメーカーとしては後発だが、冷却性能と静音性に優れたオリジナルクーラー搭載モデルやオーバークロックモデルを手ごろな価格で提供しているメーカーのひとつになる。そんなGAINWARDが、最強をうたっているGPUクーラーの「PHANTOM」を搭載しているGTX 660 Tiのカスタマイズモデルが、「GW GTX660TI 2GBD5 PHANTOM」なのだ。
「PHANTOM」クーラーは、多数のカスタムモデルが登場しているGTX 660 Tiラインナップのなかでも、ひときわ大きい3スロット占有タイプで、クーラー全体がカバーで覆われている独特なデザインを採用。ファンとヒートシンクが見えなくなっているが、実測約75mmのファンを2基とφ6mmのヒートパイプを3本備えるヒートシンクを搭載しているのが特徴だ。
採用している基板は、NVIDIAのリファレンスデザインになるが、各種クロックはコアベースクロックが1,006MHz(リファレンスク:915MHz)、ブーストクロックが1,084MHz(リファレンス:980MHz)。そしてメモリクロックは、GTX 660 Tiカスタマイズモデルでは意外に珍しく、6,108MHz(リファレンス:6,008MHz)へとオーバークロックが施されている。GTX 600シリーズは、今までのグラフィックスカードよりもメモリクロックがスコアーやfpsに影響しやすいので、メモリクロックもチューニングされているのは、なにげにうれしいポイントだったりする。また、最近のグラフィックスカードでは、すっかりお馴染みになっている各種クロックやGPU電圧、ファン回転数をユーザーが変更できる独自ツールも用意されているので、メーカーチューニングでは満足できないパワーユーザーも安心だ。
ミドルレンジのグラフィックスカードに採用されるのは珍しい3スロット占有の大型GPUクーラーを搭載する「GW GTX660TI 2GBD5 PHANTOM」 |
独自チューニングツールの「ExperTool」。オーバークロックや各種温度、クロックのモニタリングもできる |