エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.181
2012.10.20 更新
文:テクニカルライター・藤田 忠
「GW GTX660TI 2GBD5 PHANTOM」の最大の魅力となる「PHANTOM」クーラーの魅力をGPU温度から考察してみよう。なお、ベンチマークと同じように参考値として、リファレンスクロック調節モデルのGPU温度も計測を行なっている。本来のリファレンスクーラーとは別物だが、参考にしてもらいたい。
GPU温度 ※単位 ℃ |
結果は一目瞭然で、アイドル時、高負荷時ともに、ほとんど同一といってよいGPU温度になっている。過去に掲載したGTX 660 Tiのレビュー時と計測環境などが違うので、一概な比較はできないが、「PHANTOM」クーラーは、その大きさに見合った高い冷却性能を備えているといえるだろう。
なお、高負荷時の最大ファン回転数は調節モデルが50%(1860pm)のところ、チューニングモデルは51%(1920rpm)になっていた。オープンフレームスタイルでテストを行なっているが、パフォーマンスチェック中に音が気になることはなかった。実際に組み込んだPCケースのエアフローで変わってくるが、音は十分静かといえるレベルになっている。
冷却性能に十分余力が感じられた「PHANTOM」クーラー。GAINWARDの独自チューニングツール「ExperTool」を使って、軽くオーバークロック動作も試してみた。
なお、すべての個体で今回動作したクロックまでオーバークロックできるとは限らない。さらにオーバークロックはメーカーの保証対象外の行為になるので注意してもらいたい。
というわけで、「ExperTool」の「G」ボタンを押して、GPUコア電圧を+0.187V、Power Limitを128%にセット。徐々にコアクロックを上げていくと、コアクロックが+70MHzの1,076MHz、ブーストクロック1,232.6MHzでの動作に成功した。
「ExperTool」でコアクロック、コア電圧を調節。コア電圧は最大+0.187V、Power Limitは最大128%に設定できる |
3DMark11 オーバークロック動作 |
Battlefield 3 オーバークロック動作 ※単位 fps |
GPU温度 オーバークロック動作 ※単位 ℃ |
ブーストクロック70MHzアップの効果はまずまずで、「3DMark 11 Version1.0.」の「Extreme」プリセット時が5%前後。「Battlefield 3」のfpsは2fps前後の上昇となっている。
GPU温度はさすがに、コア電圧アップの影響で高負荷時80℃まで上がっているが、ファン回転数はAUTOで54%(2,010rpm)と最小限のアップに収まっているため、ノイズはメーカーチューニング時と、差を感じなかった。「PHANTOM」クーラーは優れた冷却と静音性能を備えたクーラーといえるだろう。
GAINWARDの「GW GTX660TI 2GBD5 PHANTOM」は、メーカーの知名度こそちょっと低いが、そのチューニング性能や高い冷却、静音性を備える「PHANTOM」クーラー、手軽にオーバークロックできるチューニングツール「ExperTool」と、数あるGTX 660 Tiラインナップの中でも十分買いといえる魅力的なポイントを複数持っているグラフィックスカードになっている。サポート面も国内正規代理店がちゃんとあるので、自作PC初心者も安心して選択できる。
気のなるのは、3スロット占有してしまう点だが、最近は拡張スロットを使うことは希なので、多くのユーザーは問題ないだろう。ただ、MicroATX規格のPCケースに搭載する場合は、拡張スロットが最下段の1本のみになってしまうので注意が必要だ。