エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.182
2012.10.22 更新
文:GDM編集部 池西 樹
最後はDirectX 9.0c世代の定番タイトル「MHFベンチマークソフト『大討伐』」を使用してテストを行った。解像度はこれまでと同じ1280×720ドットと1920×1080ドットの2パターンで測定している。
MHFベンチマークソフト「大討伐」 |
「MHFベンチマークソフト『大討伐』」では、「ZOTAC 650Ti」が1920×1080ドットで約2%、1280×720ドットで約4%とこれまでよりスコアが向上している。また「ZOTAC 650Ti AMP」は、1920×1080ドットで約14%、1280×720ドットで約17%と順当にスコアを伸ばしており、少々古いDirectX 9.0c世代のゲームでもオーバークロックの恩恵はしっかりとあるようだ。
最後にオリジナルクーラーの冷却性能と消費電力について確認していこう。GPUのコア温度は「GPU-Z 0.6.5」、消費電力はワットチェッカー「Watts up? PRO」を使って計測を行い、アイドル時は10分間放置したなかで最も低い数値、高負荷時は「3DMark 11 Version 1.0.3」ベンチマーク実行中もっとも高い数値とした。なおテストは空調機器を止め、室温は25℃、バラック状態で行なっている。
GPUコア温度 |
アイドル時は省電力機能によりGPUクロック、電圧とも同じレベルまで低下するため、いずれも33℃と低く抑えられている。また高負荷時は定格と「ZOTAC 650Ti」は51℃で変わらず、ベンチマーク同様オーバークロックの影響は考えなくていいだろう。また「ZOTAC 650Ti AMP」では、56℃とやや温度は上昇しているがミドルレンジでは一般的な範囲に収まっている。ちなみに搭載ファンは2pinのため回転数は取得できないが、アイドル時、高負荷時とも非常に静かに回転しており、ケースに入れてしまえばその騒音はまったく気になることはないだろう。静音性についてはあくまでも私見ながら“問題ないレベル”と言って差し支えない。
システム全体の消費電力 |
次に消費電力だが、こちらも定格と「ZOTAC 650Ti」ではアイドル時、高負荷時とも違いはない。そして「ZOTAC 650Ti AMP」だが、こちらはアイドル時が3.0W、高負荷時が17.1Wとオーバークロックによる消費電力への影響は確実にある。ただし平均で10%を超えるパフォーマンスアップのトレードオフと考えれば、多くのユーザーにとって許容範囲内だろう。いずれにせよLGA 1155のフラグシップCore i7-3770Kとの組み合わせでも200Wを下回っており、Mini-ITXやMicroATX向けのコンパクトケースに付属する電源ユニットでも十分賄うことができそうだ。
パフォーマンス至上主義のハイエンドと違い、多くのユーザーが手に取るミドルレンジでは、消費電力、発熱、静音性などトータルバランスがとても重要になる。その点今回検証したZOTAC製GeForce GTX 650Tiの2モデルは最新ゲームも程よくプレイできるパフォーマンス、静音性と冷却性能に優れたVGAクーラー、控えめの消費電力など、まさにバランス感覚に優れたグラフィックスカードと言っていいだろう。
特にアグレッシブなチューニング施された「GeForce GTX 650 Ti AMP! Edition 2GB DDR5」では、定格から平均で10%を超える高いパフォーマンスを実現しながら、消費電力や発熱は微増に抑えられており、扱いやすい高性能グラフィックスカードとして、ライトゲーマーのPCパフォーマンス底上げに大きく貢献してくれる。またカード長の短さを生かし、ZOTACが得意とするMini-ITXマザーボードと組み合わせてコンパクトなゲーミングPCを組み立ててみるのも面白そうだ。