エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.186
2012.10.31 更新
文:GDM編集部 池西 樹
続いて実使用環境に則したテストで性能を確認していくことにしよう。まずは定番のOSの起動時間から。今回はWindows 7のロゴが表示されてから、スタートアップに登録しておいたテキストファイルが表示されるまでの時間をストップウォッチにて測定している。
Windows 7の起動時間 |
最近ではHDDも高速化され、以前よりOSの起動時間はだいぶ短縮されているがSSDやRAID 0による効果はしっかりと確認できる。特にRAID 0では、UEFIのロゴ表示終了からOS起動までほとんどタイムラグがなく、テストをしていても確実に起動が早くなったことが体感できる。
次に重量級アプリケーションを代表してAdobe Photoshop CS6の起動時間をチェックしていこう。こちらは約4MBの画像ファイルをダブルクリックして、編集が可能となるまでの時間を測定した。
Adobe Photoshop CS6の起動時間 |
起動時に多くのデータをロードするAdobe Photoshop CS6では、SSDやRAID 0の効果は大きく、HDDとSSDの比較で約10秒、SSDとRAID 0の比較でも約10秒と大きな差がついた。重量級のアプリケーションを使用する場合はCPU性能だけでなく、ストレージ性能にもこだわったPCを構築する必要があることがわかる。
次にゲームの起動時間をDirt3を使ってチェックしていこう。こちらはデスクトップのアイコンをダブルクリックしてから、オープニング画面が表示されるまでの時間を測定している。
Dirt3の起動時間 |
ゲームデータのロード時には、データ読込以外に展開処理や画像処理なども行われるため、HDDとSSDの比較で6秒、SSDとRAID 0の比較で2~3秒とこれまでのテストのような劇的な改善は見られなかった。とはいえ、ボトルネックの1つであるディスクI/Oの高速化は一定の効果を上げており、パフォーマンスを重視するなら導入を検討する価値は十分にある。
次にディスク性能がダイレクトに結果に現れるデータコピー時間を測定した。今回は無作為に選択した約10GB、2,000個のファイルコピーにかかる時間を測定している。
ファイルコピー時間 |
結果は一目瞭然。HDDでは4分近くかかっていた作業がSSDでは約50秒、RAID 0では約30秒まで短縮されている。ファイルコピー中はディスクI/Oが極端に増えるため、それ以外の操作に対するレスポンスが大幅に低下するが、SSDによるRAID 0ならその時間を最小限に抑えることができる。
今回はAMDプラットフォームにおける「M5 Pro」のRAID 0構成について検証してきたわけだが、そのパフォーマンスはまさに圧巻。ベンチマークテストだけでなく、ファイルコピー、OSやアプリケーションの起動も高速化され、体感速度はまさに劇的といっていいほど改善される。
最近ではCPUやグラフィックスカードのパフォーマンスが高くなったこともあり、一般的な運用で最もボトルネックとなるのはディスクアクセスであることが多い。そう考えるとCPUやグラフィックスカードへの投資を多少抑えててでも、ディスク性能を高速化するメリットは非常に大きい。またAMD環境なら、3台以上のSATA3.0(6Gbps) SSDの導入も可能なため、RAID 10を使えばデータの保護と高速化の両立も可能となる。価格もこなれてきた「PX-128M5P」を使って、本当に快適なPC環境を構築してみてはいかがだろうか。