エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.189
2012.11.11 更新
文:GDM編集部 池西 樹
VIA Technologies,Inc(以下VIA)は台湾に本社を置くファブレス半導体メーカだ。以前はIntelやAMDプラットフォーム向けチップセットを積極的に展開しており、Socket 478やSocket A時代にお世話になったというユーザーも少なくないだろう。またx86互換プロセッサの開発も手掛け、VIA C3を始め、C7、Eden、Nanoシリーズなど省電力にフォーカスした製品展開でも知られている。
AMDプラットフォーム向けノースブリッジチップ「KT600」。Socket A時代はVIA製チップセットがAMDプラットフォームの主流で、非常に多くのマザーボードで採用されていた | こちらはVIAチップセットでは初めてSATAに対応したサウスブリッジチップ「VT8237」 |
そしてもう1つの大きな特徴が小型マザーボードだ。170×170mmのMini-ITXを始め、さらにコンパクトなNano-ITX(120×120mm)やPico-ITX(100×72mm)といった超小型マザーボード規格を提唱。“Mini-ITX”イコール“VIA”という時代もあったが、IntelがAtomプロセッサ向けにMini-ITXを採用して以来、すっかり影が薄くなってしまった感がある。現在では組み込み向け製品に注力しており、VIAのマザーボードを店頭で見かける機会はほとんどなくなってしまった。
インターネット接続に機能を限定することで49ドルという低価格を実現した「APC」 |
「APC」の開発コンセプトは“A Bycycle For Your Mind”。インターネットの普及により、これまでクライアント側で行なっていた演算処理、データストレージ、通信などの処理の多くはサーバー側へと移行している。つまりクライアントPCはこれまでのような高価かつハイパフォーマンスなものから、インターネット接続環境を提供するシンプルかつ低コストなもので十分対応できるようになってきた。そこで「APC」では極力不要な機能を排除することで、49ドルという低価格と最大13.5Wという低消費電力での駆動を実現している。
「PRIZM WM8750」のブロックダイアグラム |
プロセッサにはVIAの100%出資子会社であるWondermedia製SoC「PRIZM WM8750」を搭載。このSoCには動作クロック800MHzのARM11コアに加えて、Open GL-ES 2.0準拠のグラフィックスプロセッサ、1080pビデオデコーダー、DDR2/DDR3DRAMインターフェイス、HDMIやVGAなどの複数のビデオインターフェイス、ネットワークやI/Oコントローラが統合されている。
また基板上にはDDR3 512MBメモリ、2GBのMLC NANDフラッシュが実装され、外部インターフェイスはUSB2.0×4、オーディオ入出力、10/100Mイーサネット、microSDスロット、HDMI×1、D-Sub×1が搭載される。なおOSはカスタマイズ済みのAndroid 2.3で、ブラウザ、メーラー、メディアプレイヤーなど基本アプリケーションはNANDフラッシュにあらかじめプレインストールされている。