エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.191
2012.11.20 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
「CNPS9900DF」の製品特徴を把握したあとは実際のテストに向け、マザーボードへのマウント手順を確認しておこう。なお今回はIntel Core i7-3770Kを用意。LGA1155ソケットの組み込みを行っている。
まずは受熱ベース両側面にある4本のプラスネジを緩め、受熱ベースとダイキャスト製フレームの間に“隙間”を作る | できた隙間にIntel用プレートをスライドさせ、緩めたプラスネジで締め付ければCPUクーラー側の脚が完成 |
受熱ベースにIntel用プレートを取り付けるとご覧の通り | 次にバックプレートを使って台座を作る。Intelはソケットにネジピッチが異なるため、バックプレート末端には3つの穴が開けられている |
今回はLGA1155であるため、ナット=ピンを真ん中の穴にはめ込み、サイドキャップで固定する | 4ヵ所の末端にピンを立てれば台座の完成 |
完成したバックプレート(台座)の中心に両面テープを貼る | バックプレート(台座)をマザーボード背面からCPUクーラーホールに合わせる。先ほど貼り付けた両面テープは、マザーボードに仮留めする際に脱落を防止する役割を果たす |
台座にCPUクーラーをネジ留めすれば完成。なお冷却ファンの4pin(PWM)コネクタと3pinコネクタは、付属のY字ケーブルに接続し、マザーボードのCPU FANコネクタへ接続する |
ここまで搭載方法を手順通りに見てきたが、ひとつ気になったことがある。それはCPUクーラーと台座(バックプレート)を固定するボルトの“ねじ込み”だ。ボルトのヘッドは六角タイプで、付属の六角ヘックスレンチでトルクをかけていくが、いかんせんラウンド放熱フィンが邪魔をし、ボルトヘッドに対して垂直に六角ヘックスレンチを使う事ができない。そのため、レンチの片方は角度を付けてトルクが掛けられるボールポイントタイプになっているワケだが、お世辞にも使いやすいとは言えない。特にVRM周りに背の高い大型ヒートシンクが搭載されているマザーボードの場合、隣接するボルトを締め付ける作業はかなり手こずる事になる。ひとたび固定してしまえば、そうそう取り外す事はないCPUクーラー。よって“1度の我慢”といったところかもしれないが、バックプレート側から固定するなど、改良を検討してほしい。
大型CPUクーラーで必ず障壁になるのが、隣接するメモリスロットとの物理的干渉だ。高冷却設計であればあるほど、放熱フィンの面積を広くとるべく、フィン自体が大型化してしまう。そこでヒートシンクがメモリスロット部にまで侵食する事を防ぐには、ヒートパイプで放熱フィンを嵩上げするしかない。だがこれにも限界があり、そもそもPCケースのCPUクーラー有効スペース(ケース幅)もせいぜい170mm前後だ。設計者を悩ませる痛し痒しの難問だが、「CNPS9900DF」を確認すると、大型ヒートスプレッダ付きメモリでは、CPUに隣接するスロットが使用できなくなってしまった。冷却能力と引き替えの代償は、ある程度許容しなければならない。
装着テストに使用したCORSAIR「DOMINATOR PLATINUM」シリーズは、全高56mm。ヒートスプレッダが高くそびえ立つメモリだけに、CPUに隣接するメモリソケット1本分に、ヒートシンクが多い被さり使用不可能。メモリをフル搭載させず、2/4番スロットで使用するマザーボードなら問題がない |
ヒートスプレッダ無しのGeIL「BLACK DRAGON」シリーズを挿してみたところ。これならば問題なく4つのメモリスロットすべてを使う事ができた |