エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.192
2012.11.23 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
MSI「R7970 Lightning BE」製品情報(MSI) 実勢売価54,800円前後 |
本題に入る前に、今回用意した「Radeon HD 7970 GHz Edition」グラフィックスカードと、“Vishera”の通称で呼ばれる新型「AMD FX」シリーズについて軽く触れておくことにしよう。
「Radeon HD 7970 GHz Edition」は、Radeon HD 7970を置き換える形で登場した改良版にして、AMD Radeon HDシリーズの新たな最上位シングルGPU。“GHz Edition”の名の通り、アップグレードに伴いコアクロックが従来の925MHzから1GHzの大台へと到達、メモリクロックも5,500MHzから6,000MHzへとスペックアップを果たした。さらに動作電圧とコアクロックを自動的に高める「PowerTune technology with Boost」を搭載し、コアクロックは最大1,050MHzまでブーストアップすることができるという新機能付きだ。特にこの“ブーストクロック”の概念はNVIDIA製ハイエンドGPUの「GPU Boost」への対抗を意識させるもので、競合するGTX 680攻略に向けての目玉要素といえるだろう。
そして今回のテストにも使用する“Vishera”こと新生「AMD FX」シリーズは、約1年ぶりに登場したAMDのパフォーマンスCPUだ。従来モデルと同じ32nmプロセスながら、第2世代APU“Trinity”同様に「Bulldozer」コアの改良版にあたる「Piledriver」コアを採用。最上位モデルのFX-8350は8コアCPUとして初めて動作クロックが4GHzの壁を超えるなど、パフォーマンスが大きく強化されている。
さらに特徴的なのが、価格設定の安さ。最上位のFX-8350でも18,000円ほどで買えてしまうというお手頃さで、安価に8コアCPUを試してみたいという向きには最適だ。また、「AMD FX」シリーズは全モデルが倍率ロックフリーの「Black Edition」。解禁日の店頭では早くも極冷オーバークロックデモが行われて話題になったのは記憶にも新しい。ただ安いだけでなく、オーバークロッカー向けにも面白い存在として期待できそうだ。
搭載GPUがRadeon HD 7970 GHz Editionへとアップした「R7970 Lightning BE」。製品名の末尾についた“BE”は“BOOST EDITION”の略で、ブーストクロック実装によりさらに強化されたスペックを示すものだ |
それでは改めて、MSI Radeon HDシリーズの新たなフラグシップの座についた「R7970 Lightning BE」をご紹介していこう。
基本的には旧モデル「R7970 Lightning」をベースに、GPUをRadeon HD 7970 GHz Editionへとアップグレードしたモデルといえば話が早い。最高峰モデルならではの高度なメーカーチューンは健在で、コアベースクロックが1,070MHz(リファレンス1,000MHz)、ブーストクロックは1,150MHz(リファレンス1,050MHz)へとカスタムされている。
さらに「Lightning」シリーズでは毎度おなじみのオーバークロック耐性の高さも継承。オーバークロック時の過大な負荷に耐える高品質なコンポーネントを採用し、米軍の調達規格MIL-STD-810G認証をクリアしたMSI独自の品質保証「ミリタリーIIIクラスコンポーネント」に準拠する。加えて、“過電流保護”や“アクティブフェーズ”などオーバークロックの足かせ要素を無効化した「Unlocked BIOS」の実装や、電力供給を増加させリップルノイズを低減させる専用ボード「GPU Reactor」の搭載、高負荷時でも安定して動作するデジタルPWM電源回路など、オーバークロック特化のアグレッシブな機能は枚挙に暇がない。
また、熱対策にも抜かりはなく、旧モデルに搭載されたオリジナルクーラー「Twin Frozr IV」を今回も装着。計5本のヒートパイプと100mm径のデュアルファン構成でオーバークロック時の発熱を強力に冷却する。もちろんこうした機能は、パワフルで信頼性に優れたグラフィックスカードを長く使いたいという、ごく一般的なニーズにもマッチするものだ。