エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.195
2012.12.07 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
先日お届けした、サイコム訪問記。秋葉原から電車で30分程度の距離に拠点を置くサイコムの社屋内には、自作派垂涎のPCパーツがうずたかく積まれていた |
DOSとWindowsが二分する頃から、「PCは自作するもの」と決め込んでいた筆者にとって、やはりBTOというキーワードにはどこか馴染めないところがある。今でもメーカー製PCはノート以外絶対買うものかと思っているが、それに比べればだいぶ自作寄りのはずであるBTOにも、抵抗感が否めない。とは言うもの、プライベートブランドPCをはじめとするBTOのリリースも多く見ているだけに、中には「なかなかイイじゃないか」と思わせるモデルに出くわすことも。
そもそもBTOは、謎のPCケースに謎の電源を組み込み、さらにCPU以外はメーカー名を開示せず、謎の構成で完成した、「謎」だらけのPCという認識があった。「無印」であることが「ブランド」だと打ち出して成功した例もあるが、PCに限っては最低限構成パーツのメーカー名くらいは知っておきたい。そんな市場の声を反映してか、近頃は主要パーツのメーカー名を開示したBTOが増えてきているように思う。
今回取り上げるサイコム「G-Master Cutlass-ITX」は、主要パーツのチップ名しか開示されない“「謎」のPCとは明確に一線を画する”最たるモデルと言えよう。製品名にもあるとおり、ベースとなるフォームファクタはMini-ITXだ。BTOとは無縁の存在だったMini-ITXが選択肢に加わったのは、元来産業向け規格だったフォームファクタがコンシューマ向けにも侵食してきたことの現れといえる。加えて先日の取材でも明らかになったように、サイコムのSTAFFが自作マニアぞろいであり、市場のニーズに熱心に耳を傾けている点が大きい。大量生産型メーカーではなく、PC好きファクトリー型メーカーの自作派目線で企画・製作されるからこそのなせる技とみるべきだろう。
サイコム「G-Master Cutlass-ITX」は、モデル名でも分かるようにBTOとしては珍しいMini-ITXフォームファクタのコンパクトBTO。サイコムのゲーミングPC「G-Master」シリーズに属し、小型PCながら高いパフォーマンスで現在の人気モデルときく。小さなPCが好きな筆者にとって、非常に魅力的なモデルだ |
実機を見ていく前に、サイコムの特徴をもうひとつ紹介しておこう。それはカスタマイズメニューの豊富さだ。
チェックボタンによる自動見積りはどこにでも設置されているが、例えばCPUなら22種類、グラフィックカードなら19種類(いずれも2012年11月現在)から、選択ができる。自宅に居ながらにして、あたかもPCパーツショップの陳列棚を物色しているかのような感覚で、アップグレードもダウングレードもまさに自由自在。実際に購入しないまでも、自分なりに思い描く構成のおおよその価格を把握する“バーチャル自作”だけでも十分に楽しむことができる。ついつい閲覧時間が長くなってしまうサイコムのサイトも、同社の魅力といえるだろう。
詳細すぎるサイコムの自動見積もりメニュー。CPUで22種類、HDDで14種類、SSDで25種類、VGAで19種類など、多くはメーカーと製品名が明記されている。(画面は2012年11月現在) |