エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.197
2012.12.14 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
横置きスタイルはやはり家電ともよくマッチする。内蔵HDDのアクセス音が漏れでてくることもなく、リビングに置いても邪魔になることはないだろう |
それではいよいよ「GW3.5TR10-SUP3」を動かしてみる。PCの場合はともかく、「REGZA」などの液晶テレビに接続した場合はテレビ側で自動的にフォーマットを促すメッセージが立ち上がるため、ユーザーはリモコンで操作するだけですぐにHDDを録画メディアとして使用できる。組み込みの手間もシンプルかつ短時間で済む上に、実際の導入もほぼ繋ぐだけのお手軽仕様。自作をまったく知らない人でも問題なく扱える。
極まって便利な容量インジケータ。ひと目で分かる位置にあるため見逃すこともなく、うっかり容量超過という過失とはもうさよならだ |
実際にデータを「GW3.5TR10-SUP3」に保存して試してみることしばし、使用容量が増えるごとにLEDのメーターが進んでいき、HDDの使用状況を直感的に把握できるのはなかなかに面白い。さらに動作中自然と目に入る位置にインジケータが配置されているため、満タンになるのをうっかり見過ごすということもない。容量超過で録画に失敗した経験のある人は少なくないと思われるが(筆者含む)、それを防ぐために残容量を折を見て確認するという面倒な習慣から全ユーザーを解放してくれるこの機能はかなり便利だ。日常的に内蔵HDDの容量を把握できていれば、事前に不要なデータを削除したり、あらかじめ替えのHDDを購入しておくという事前準備の余裕も出てくることだろう。
ただし家電向けということを考えたとき、多少気になったのは最近のテレビの親切さと利口さだろうか。大抵のモデルは録画メディアの容量不足を事前にメッセージで警告してくれたり、複数の録画先を認識して優先順位を設定できるため、“水際”における予防策はあらかじめテレビ側も装備していると言っていい。インジケータを目安に事前準備できるメリットはあるものの、どちらかといえばそうした予防策を持たないPCユーザーの方がより大きな恩恵を受けることができるかもしれない。
グリップ力の高いゴム足のおかげで2段重ねも難なくこなす。容量インジケータを見ながら、複数のドライブに均等に録画していくという使い方もよさそうだ |
メーカーが液晶テレビなど家電向けを志向するだけあって、「GW3.5TR10-SUP3」は自作ユーザーの枠にとらわれない、PC初心者にもオススメできるシンプルなHDDケースだ。作りのよさからくる組み込みやすさも手伝って、自作知識のない人が最初に手を出す製品として最適なモデルといえる。リビングに置いても違和感のないスタイリッシュなデザインと堅牢なフレーム構造を兼ね備え、安心して長く使用できる。また、静粛性にも優れ、アクセス中もHDDの駆動音が聞こえるシーンは一切なかった。
10段階の詳細な残容量把握が可能な「GW3.5TR10-SUP3」。組み込みやすく堅牢、かつスタイリッシュ。1台用モデルの中では文句なしに“買い”な製品だ |
さらにその存在を際立たせている容量インジケータ、これが実に便利だ。OSやデバイス情報から逐一確認することなく、直感的に内蔵HDDの容量状況を10段階という細かな領域ごとに把握できるのは極めて大きなメリット。容量超過による録画失敗や水際での大慌てを防いでくれる、極めて実用的な機能だ。前述の通りテレビ相手では多少影が薄まるかもしれないものの、PCユースでは間違いなく重宝する。USB3.0対応ケースとしては多少割高な価格設定ながら、そのキラー的な便利機能を武器に新定番モデルに躍り出てもあまり驚かないだろう。
しかしこの素敵に便利な機能をHDDケースだけに限定しておくのは多少もったいない気もする。PCとの相性も非常に良好な機能だけに、同じく10段容量インジケータ搭載のベイ固定型マウンタなど、他の派生モデル登場には大いに期待したいところ。ぜひ積極的なリリースを検討してもらいたい。