Windows 8 のはなし

• 編集部：
  　では本業の自作PCについて話をしましょう。新年早々、景気の悪い話もナンですが、業界的にどうでしょう。
• Patric氏：
  
  

  国境なき賛否両論のWindows 8

  　2012年に比べ、セールスに劇的な変化はないと思います。善し悪しは別として、落ち着いている感はありますね。エルミタでもレポートが掲載されていましたが、Windows 8 は台湾でもかなり静かな感じです（笑）。Windows 7 が良すぎて、アップデートする必要がないというのが、大方の意見ですね。
• 編集部：
  　決して悪くはないんです。ただし、積極的にインストールする理由が弱い。仕事柄インストールしてみましたが、メインPCへの導入は避けました。
• Patric氏：
  　圧倒的に安くなりましたよね。もちろん買いましたが、そのまま放置しています（笑）。日本では恒例の深夜販売で大いに盛り上がったようですが、あれだけのプロモーションをやっても、自作派には今ひとつ響いていない印象があります。マイクロソフトのOSは、ひとつ置きで爆発的ヒットを飛ばしますが、今回もそんな雰囲気ですね。でもいいところもあります。そこはメディアも積極的にアピールしてもいいんじゃないでしょうか。Windows 9 まではまだ時間がありますよ（笑）。
• 編集部：
  　どうもあの「タイル」は「アタック25」に見えて仕方がないんだよなぁ、、、
• Patric氏：
  　なんですかそれ。

PCケース製造に異変。大陸から引越の動きが活発化

• 編集部：
  　パーツ事情はどうでしょう。オーストラリアやシンガポールが好調と聞きますが。
• Patric氏：
  　シンガポールはいいですね。あとは中東もいいですよ。自作熱が高い。セールスとは違う話になってしまいますが、製造工場に関して2012年初めから少々異変が起き始めています。PCケース等、多くの工場は中国にありましたが、撤退の動きが出ています。
• 編集部：
  　それはまたどうして。
• Patric氏：
  
  

  大陸から台湾へシフトしはじめているというPCケース製造部門

  　これまで、賃金コストが低い中国の広州や深圳で多くのPCケースが製造されてきました。しかし最近では、そのコストが見合わなくなってきてしまった。ベースアップにより、中国に固執するメーカーが激減しています。中国の成長にも陰りが見え始めたと考える人が少なくありません。
• 編集部：
  　以前のようにはいきませんね。さらにクオリティに関するトラブルは相変わらずですか。
• Patric氏：
  　依然多いですね。改善されません。文化と働く意識の違いですが、人材の確保もひとつの要因。別メーカーの工場で50元賃金アップと聞けば、ごっそりそちらに移ってしまう（笑）。せっかく育てた人材が一気にいなくなり、また新しく雇用した人がいきなり製造ラインに入る。この繰り返しでクオリティが上がらないという事はよくあります。集団でいなくなってしまうんですよ。同じ作業なのに、賃金が安いのは納得がいかないと（笑）。ロットによって精度が違ったりする理由のひとつです。
• 編集部：
  　中国の工場へ現地視察に行ったところ、隣のラインではライバルメーカーのPCケースが見るからに“別格”な扱いで製造されていて憤慨したという話を聞いたことがあります（笑）。
• Patric氏：
  　詳細は言えませんが、日本でもよく売れたPCケースと他社の廉価版PCケースが同じ工場で製造されており、明らかに扱いが違う（笑）。片方はおもしろくないと感じるでしょう。でもよくある話です。
• 編集部：
  　では中国に変わる工場はどこになるんですか。
• Patric氏：
  　ベトナムやタイが多いですね。PCケースは輸送コストがバカにならないので、人件費だけを考えればいいというワケではありません。元々あった台湾の工場に生産ラインを戻したり、新規工場を作る計画もあります。台湾は仕事をしない若者が増えている。賃金も比較的安いので、労働力の確保も可能です。中国に大型設備投資したメーカーは、これからたいへんだと思いますよ。