エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.206
2013.01.30 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
いよいよ冷却機器たる実力を見極めるべく、冷却能力テストを開始する。まずは「ELC」シリーズで最も注目を集めるであろう、240mmラジエターの「ELC240」からチェックしてみたい。
今回のテストには、Intel Core i7-3770Kを用意。マザーボードはGIGABYTE「GA-Z77X-UP4 TH」で、DDR3-1600 8GB(4GB×2枚)、128GB SSD(SATA3.0)という構成。PCケースは先ほどご紹介したENERMAX「Fulmo ST」をそのまま使用した。また、ストレスツールにはおなじみ「OCCT 4.3.2」を使い、100%負荷状態15分でテストを行った。なお、通常エルミタのレギュレーションでは、30分ロードを基本にしている。ただし「ELC」シリーズは、冷却ファンの回転数を3段階設定できることから、検証時間が余計に掛かってしまう。より詳細をお届けすべく、全回転数でテストを実施しているため、テスト実行時間の短縮はご容赦頂きたい。
室内温度14℃/湿度45% |
Intel Core i7-3770K定格(Turbo Boost Enable)で計測したところ、3種類の回転数いずれも最大で50℃を超すことがなかった。室内温度が低い(テスターはかなり寒い)時期という事を考慮しても、これは極めて優秀は結果といえるだろう。
冷却ファン回転数の最小上限1,500rpmと最大上限2,200rpmには、700rpmの差があるものの、理論的に風量が増えたところで、定格運用では+700rpmの劇的なアドバンテージは認められなかった。つまり、最小回転でもCore i7-3700K定格運用では、「ECS240」が持つ冷却能力の頭打ち状態になっているというワケだ。
実を言えば、にわかに信じがたい結果である事から、時間をおいて追試を行ってみたところ、結果は変わらず。そこで今度は4.4GHz(1.22V)までクロックを上げ、同様にテストを行ってみた。
室内温度14℃/湿度45% |
定格動作に比べ、さすがに数値は上昇しているものの、オーバークロック状態でこの数値は極めて優秀。高負荷時すべて50℃台に収まっており、「ELC240」の高い冷却能力が数値に表れている。
デジタル騒音計をPCケース前面30cmに置き、動作音を計測してみた。音を表現するのは難しいが、上限2,200rpm設定の高負荷時はさすがに勇ましい音が響き渡る。現在流通しているオールインワン水冷キットの冷却ファンは120mm口径が最大。スペース的な制約から、多くのPCケースで採用が進む140mm口径以上の冷却ファンをマウントする事はかなわず、120mmファンを使わざるを得ないため、2,000rpmに近い数値(上限1,800rpmも同様)では静音は望めない。一方で上限1,500rpm設定時は最大回転時でも動作音は静か。冷却能力との兼ね合いから、上限1,500rpmの静音設定での常用をオススメしたい。
「ELC240」テスト最後は、冷却ファンの回転数をチェックしておこう。それぞれ上限1,500/1,800/2,000rpmの3段階で計測したところ、高負荷状態で最大1,201/1,445/1,762rpmだった。±10%としてもやや低めな数値だが、低・中・高速の切り分けができる結果となった。