エルミタ的一点突破 Vol.29
2013.02.09 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
最大の特徴であるナローフィンデザインにより、メモリスロットへの干渉を回避させた「阿修羅」。ここまでは文句の付けどころがない仕上がりを見せているが、果たして冷却機器としての実力は如何ばかりか。ここからは本領発揮とばかりに、冷却能力テストを実行していく。
テストは従来通り、CPU温度計測、非接触型温度計によるポイント別温度計測、冷却ファンの回転数および騒音値計測の4種類だ。ちなみに、これまで参考モデルとしてきたIntel Core i7-3770K同梱純正クーラーの再テストも実施している。これは以前から目安としてきたテスト結果に比べ、室内温度が極端に低くなっていること、さらに購入時期が違う個体であることがその理由だ。
CPUクーラーテストレギュレーション(計測室内温度12.5℃) | ||||||
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1.マザーボードはケースに組み込まない状態で計測する (ケースファンなどケース内エアフローの影響を受けない状態で、できる限りCPUクーラー本来の性能を見る 2.マザーボードなどの各種設定はデフォルトのまま行う 3.CPUに100%負荷をかけ、計5回のテストを実行 4.騒音値は、ファンから30cmの距離で計測 5.高負荷状態はストレステストツール「OCCT 4.3.2」を使用 (アイドル時および高負荷時(100%/30分)の数値を計測) 6.CPU温度計測には「OCCT 4.3.2」を使用(全コア平均値) 7.ファン回転数は「SpeedFan 4.47」を使用 |
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【参考モデル】Intel Core i7-3770K同梱純正CPUクーラー
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「OCCT 4.3.2」によるCPU温度計測(室内温度12.5℃) |
CPU温度を確認すると、高負荷時で49.5℃だった。とにかく寒い検証室内だった事を考慮しても、結果は良好。今回は定格のみでのテストだったが、合計5回のテストではほぼ同じ数値に落ち着いている。ナローフィンデザインにより、大型サイドフロー型に比べ、フィンの放熱面積が少ないのではないか?という当初の懸念は、どうやら単なる老婆心であったようだ。
続いて、非接触型温度計による、ヒートシンクのポイント別温度計測結果をみていこう。「阿修羅」で計測したのは、受熱ベース部を含め、全部で10カ所。結果から何かを読み取ることはできるだろうか。
一般的なサイドフロー型CPUクーラー同様、比較的温度が高いのは(7)~(9)のラインで、CPUに近い個所。一方で、CPUから最も遠い(1)~(3)は20℃を超すことはなく、容易に想像できる結果となった。ちなみに「阿修羅」同様、受熱ベース上に小型ヒートシンクを載せたモデルは多数存在するものの、温度が高くなる傾向はほぼみられない。本来であればCPUに最も近い場所(受熱ベースと一体の場合もある)だけに、やや合点が行かない。受熱ベース部分から伸びるヒートパイプが素早く熱を奪っている(放熱フィンへ移動させている)と仮定するならば、小型ヒートシンクは冷却にさほど貢献しないとみるべきだろう。