エルミタ的一点突破 Vol.29
2013.02.09 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
次に標準搭載される冷却ファン「隼140 PWM」の回転数をモニタした結果を見ておこう。回転数は「SpeedFan 4.47」を使い、アイドル時と高負荷時の2パターンで計測している。
「SpeedFan 4.47」にて計測 |
まず「隼140 PWM」の公称値は、500±300rpm~1,300rpm±10%であることを念頭に結果を見ると、アイドル時692rpmに対し高負荷時は1,080rpmだった。いずれもほぼスペック通りだが、高負荷時は最大回転までもう少し余裕があるように思える(とはいえ、わずか100rpm程度だが)。
次にデジタル騒音計を使って、動作音をチェックしてみよう。計測ポイントは、冷却ファン「隼140 PWM」から30cmの位置とし、アイドル時と高負荷時の2パターンで計測している。
冷却ファンから30cmの位置で計測(室内騒音値29.1dBA) |
騒音値は、必ずしも冷却ファンの回転数値だけでは決まらず、放熱フィンを抜ける音やインペラやフレームから発せられるいわゆる風切音が加算される。「阿修羅」の場合、692rpm(アイドル時)で36.8dBA、1,080rpm(高負荷時)で41.7dBAだった。アイドル時は言うまでもなく十分に静音動作を果たし、高負荷時でも十分に許容範囲内。大型インペラに小軸という「隼140 PWM」の特長通りの結果になった。
久々となるサイズのオリジナルCPUクーラー「阿修羅」は、なかなかの良品だった。サンプルが届けられてからというもの、しばし眺めるだけという日々が続いたが、実はそれほど期待をしていなかった。それは幾度となく触れたように、ナローフィンデザインによるスリム化で、これまで検証してきた大型サイドフローには冷却能力で勝てないだろうと踏んでいたからだ。
しかしそれを裏切り、数多あるビッグサイズのCPUクーラーに肩を並べる高い冷却性能と静音性が確保されていた。さらにこれまで悩みの種だった、メモリスロットの物理的干渉をクリアし、心置きなくすべてのスロットに大型ヒートスプレッダ付メモリを使うことができる。CPUクーラーたる仕事と、メモリスロットクリアランスに折り合いをつけた「阿修羅」は、サイズオリジナル歴代モデルの中でも、トップクラスの製品と言えるだろう。
CPUクーラーとは、要するにバランスをいかにしてとるか、だ。何かを犠牲にするのではなく、”何も犠牲にしない”というコンセプトから設計された「阿修羅」。サイズ開発陣渾身の逸品だった。
サイズ「阿修羅」総合評価 | |