エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.208
2013.02.14 更新
文:GDM編集部 池西 樹
次に、ハイエンドマザーボードの醍醐味の1つ、オーバークロックについても試しておこう。今回は、常用可能な設定を探るため、UEFIにあらかじめ登録されているプリセットでどこまで上を目指せるのか挑戦してみることにした。
Core i7-3770Kとの組み合わせで用意されるプリセットは「4.0GHz」~「4.8GHz」までの5段階 |
「OCCT 4.3.2」の負荷テストをクリアできたのは4.60GHzまで。Ivy Bridgeではヒートスプレッダの問題で温度が非常に上がりやすく、これ以上のクロックで常用するのは少々厳しい印象だ。なおマザーボードの「SYSTIN」は、オーバークロック状態でも30℃を超えることはなくまだまだ余力を感じさせる。
4.60GHz動作時の「OCCT 4.3.2」の結果。普段から愛用している高冷却サイドフロークーラー「峰2」でも温度はかなり高め。マザーボード自体にはまだまだ余力を感じるだけに、Ivy Bridgeのヒートスプレッダは残念だ |
SYSINの温度は最高でも30℃前後で、マザーボードの冷却性能はまったく問題ない |
続いてオーバークロックの効果を確認するため「CINEBENCH R11.5」のスコアを測定してみることにした。
CINEBENCH R11.5によるベンチマーク結果 |
シングルコアでは、TurboBoost機能が働くため、定格と4.00GHzでスコアが詰まるが、それ以外は概ねクロック通りスコアが上昇する。ちなみに定格と4.60GHzを比較すると、向上率はシングルコア約18%、マルチコア約24%で、常用レベルのオーバークロックでは十分な効果と言えるだろう。
最後にオーバークロックによって、どの程度消費電力が増加するのか確認しておこう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、高負荷時は「OCCT 4.3.2」のストレステスト中最も高い値とした。
CPUのオーバークロックによる消費電力の違い |
アイドル時はCPUの省電力機能によりコア電圧が下がるため、大きな違いは出なかった。また高負荷時も、4.60GHzで51.1W増と想像していたよりも小幅な上昇で、CPUの冷却さえクリアできれば問題なく実用できる。
Mini-ITXやミドルレンジが続いた「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」では、久しぶりの登場となるハイエンドマザーボード「Z77 Extreme11」。実売で40,000円を超える価格設定は、決して万人向けの製品ではないが、単体で30,000円前後のRAIDカードと同レベルのストレージ性能を考えれば決して高価ではない。それどころかIntel製チップによるデュアルギガビットLANや、PLX Technology製スイッチチップ「PEX 8747」による3Way-SLIのサポートを考えれば、コストパフォーマンス的にも優秀と言っていいだろう。
さらに、合計12ポートのUSB3.0やIEEE 802.11a/b/g/n無線LAN/Bluetooth 4.0コンボカードなどこれ以上ない拡張性の高さ。そして、高品質コンポーネントや2オンス銅レイヤー基板に裏打ちされた高い安定性・耐久性は、まさにフラグシップにふさわしい仕上がりだ。“LGA 1155プラットフォーム最高スペック”や“1枚のマザーボードで長期間の安定動作”を目指すなら、ASRock「Z77 Extreme11」の導入をぜひ検討してみるといいだろう。