エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.209
2013.02.17 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
大幅な刷新を遂げた、FutureMarkの定番3Dベンチマークソフト「3DMark」シリーズ最新版の公開が今月5日から始まっている。製品名はサフィックスのつかないシンプルな「3DMark」で、従来とは異なるアプローチを採用する革新性が全面に押し出されている。テストに先立って、まずはその概要を簡単にご紹介しておこう。
なお、エディションは無償版の「Basic Edition」と、有償版「Advanced Edition」、そしてビジネス利用可能な「Professional Edition」の3つが用意される。
3つのテストが用意される「3DMark」。無償版では「Run all tests」しか選択できないが、「Advanced Edition」以上はテストの個別実行やカスタマイズ、特別なプリセットを選択できる |
「3DMark」のテストは、エントリーPCやモバイルデバイスに対応した「Ice Storm」、ノートPCやローエンドGPUを搭載するホームPC向けの「Cloud Gate」、ハイパフォーマンスPC向けの「Fire Strike」と、大きく分けて3種類。同じテストシークエンスを使用し、負荷の異なるプリセットを用意していた前世代の「3DMark 11」から変更され、システムの性能や環境に合わせた、より適正なパフォーマンス評価が可能になった。
マルチプラットフォームに対応した「Ice Storm」。3DMark Vantageの「New Calico」を思わせる戦艦と戦闘機が、氷に包まれた惑星に侵攻していくシーンが描かれる。DirectX 9相当のグラフィックス機能のみで構成されている |
特に今回から追加された新しい要素が、スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイスにも対応した「Ice Storm」だ。公開時点ではWindows向けバージョンしかリリースされなかったものの、近くAndroid、iOS、Windows RT端末に向けた対応バージョンが公開予定。“クロスプラットフォーム”による横断的な性能評価が可能な、シリーズ初のアプローチだ。
また、テストにはDirectX 11のグラフィックスエンジンが使用されるものの、Windows/Windows RT版ではDirectX 9相当の処理に抑えており、該当の環境で想定される“仕事”に合わせこまれている格好だ。もう一方のAndroid版とiOS版ではOpenGL ES 2.0で動作する。解像度は1280×720ドットでレンダリングされ、そこから実際の画面解像度に合わせて変換される仕組み。テスト項目は「Graphics Test 1」、「Graphics Test 2」、「Physics Test」が行われる。
ローエンド環境向けに用意される「Cloud Gate」。雲海の中に浮かぶ衛星軌道上のワープゲートという、ちょっと不思議なモチーフのテストだ。DirectX 10相当の機能に限定した処理が行われる |
ノートPCやローエンドGPU搭載モデル向けの「Cloud Gate」は、DirectX 10レベルのグラフィックス機能を使用したテスト。グラフィックスエンジンは「Ice Storm」同様にDirectX 11を利用しつつも、DirectX 10相当になるように簡素化が図られている。デフォルト解像度は1280×720ドットで、テスト項目は「Graphics Test 1」、「Graphics Test 2」、「Physics Test」の3パート。なお、クロスプラットフォームに対応するのは「Ice Storm」のみのため、「Cloud Gate」以上はWindows/Windows RT向けのテストとなる。
マグマが流れる地下都市で2人のキャラクターが戦う「Fire Strike」。DirectX 11の機能をフル活用した非常に負荷の高いテストで、有償版では「Extreme」プリセットも選択可能。スポンサーであるMSIのロゴも随所に登場する |
最後にご紹介する「Fire Strike」は、前世代「3DMark 11」の正当後継といえる、ハイパフォーマンスPCをターゲットにしたテスト。デフォルト解像度は1920×1080ドットにセットされ、DirectX 11の機能をフルに活用した非常に高い負荷がかけられる。テスト項目は先の2つとは異なり、「Graphics Test 1」、「Graphics Test 2」、「Physics Test」に「Combined test」を加えた4パート構成。
また、この「Fire Strike」には、「Advanced Edition」以上から使用可能な「Extreme」プリセットも用意される。最大2560×1440ドットのテストが可能で、グラフィックス設定も最大級の負荷がかかるようにセットされる。こちらはマルチGPU環境や、将来のGPUに向けて用意されたプリセットだ。