エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.210
2013.02.22 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
マザーボード(ATX)を搭載したところで、基板周りのクリアランスを測ってみた。まずメモリスロット右側のスペースは、実測約25mm。またCPUクーラー上部は約65mmだった。ここで注目したいのはトップパネルとマザーボードの距離。120mm口径ファンが最大2基マウントできることから、240mmタイプの水冷ラジエターが搭載できるか否かは重要なポイントになるだろう。上部スペース約65mmは、標準搭載される120mm口径ファンとマザーボード間の数値になることから、比較的スペースのあるPCケースと言えるだろう。実際に手持ちの240mmサイズラジエターを搭載してみたところ、マザーボードに干渉することなく固定できた。
標準搭載されるトップ120mm口径ファンとマザーボード間のスペースは約65mm。この部分には、CPU 12Vコネクタをマザーボードトレイ背面から引き回せるスルーホールも2つ用意されている |
PCケースのほぼ標準となったCPUクーラーメンテナンス用ホール。カットアウト開口部は縦135mm×横195mmと広く、バックプレート固定式CPUクーラーの着脱を容易に行う事ができそうだ |
「MS800 Plus」で装備されるギミックのひとつ「VAG Guide」。ピンポイント冷却用ファンの固定にも使用されるGuide Clipをグラフィックスカードの末端位置に合わせ、歪みを防止することができる。正直あまり期待していなかったが、実際に重量級長モノグラフィックスカードのサポート役としては仕事をこなしており、拡張スロット金具のネジ穴が下向きに”垂れ下がる”事がなくなった。プラスチック製マルチガイドとGuide Clipがやや華奢な印象ではあったものの、その心配は無用のようだ。
たまに見かける拡張カードのサポートギミック。VGA Guideと名付けられたギミックは、使ってみるとなかなかイイ |
最後に標準搭載される冷却ファンの動作音を計測してみる。「MS800 Plus」出荷時に搭載されているのは、2.5/3.5インチホットスワップベイ部92×92×25mm ×1基、トップ部120×120×25mm ×1基(BlueLED)、リア部120×120×25mm ×1基。さらにマルチガイドの任意箇所に搭載できる92×92×25mm ×1基の合計4基だ。いずれもフロントトップ部にあるダイヤル式ファンコントローラーで一括制御可能。必要に応じて回転数を調整すればいい。
ここでは全4基の冷却ファンを稼働させ、ファンコントローラーの最少回転時と最大回転時の動作音を、デジタル騒音計でモニタしてみることにした。なお計測ポイントはPCケース正面から30cmの位置としている。
計測時の室内騒音値:28.9dBA |
最大6基の冷却ファン(3pin)を一斉に回転数制御できるファンコントローラー。標準装備される4基の冷却ファンの回転数を一斉に絞ったところ、30.2dBA。また最大回転にしたところ、32.9dBAだった。数値的には僅かだが、確かに風切音の違いを感じることができる。とは言え最大回転時でも静音性は保たれていた。
ちなみにZALMANは標準搭載冷却ファンの回転数を開示していないが、各々をマザーボードの3pinコネクタに接続し、パルスをチェックしたところ、92mm口径ファンは1,198rpm、120mm口径ファンは1,211rpmだった。なお、120mm口径ファンはLED搭載の有無によるモデルの違いはなさそうだ。
「Z9」シリーズを大ヒットさせたZALMANにとって、次なるヒット作を生み出すことは不可欠。その快進撃が続く間に、最も購買層の厚いミドルレンジ価格帯でもシェア獲得を狙うのは当然のことだろう。
今回取り上げた「MS800 Plus」は、激戦区のミドルレンジ(とは言え1万円台前半)に投入された自信作。フロントアクセスが容易なホットスワップベイや、重量級グラフィックスカードを支え、さらにピンポイント冷却用ファンが取り付け可能なマルチガイド等、数多あるライバルモデルとの差別化を図った。いずれも実用的なギミックで、使い勝手は申し分ない。敢えて言うならば、2.5/3.5インチシャドウベイの数が標準レベルという点で意見が分かれるところだが、一般的な使い方なら不足を感じることはないだろう。
エントリークラス価格帯での成功により、PCパーツ市場に実力と本気度を認知させたZALMAN。次なるターゲットでもシェアを拡大する事ができるのだろうか。「MS800 Plus」に課せられた期待は大きい。