エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.219
2013.03.26 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
オールインワン水冷キットで欠かせない重要部品となるポンプ一体型水冷ヘッド。「Seidon 120M」では、直径70mm、高さ27mmのコンパクト設計で、現在流通しているオールインワン水冷キットの中では、最も薄いタイプが採用されている。
オールインワン水冷キットが出始めの頃、その冷却特性から水漏れを心配する声が非常に多かったが、ポンプの耐久性に対する懸念も普及の足かせになっていた。ポンプは冷却水の循環を行う、いわば”心臓”にあたり、ここに致命的なトラブルが起きれば、冷却サイクルが停止してしまう。冷却ファンのように、トラブルが目視できないという点も、水冷システム導入を躊躇する要因になっていただろう。
今では技術の進化とメーカーの努力、さらに”人柱的ユーザー”の動作実績が下支えとなり、それら心配する声はほぼ聞かれなくなっている。なお「Seidon 120M」に搭載されるポンプの平均寿命は70,000時間とされ、数字上では一般的な空冷ファンよりもはるかに高耐久なのだ。
極薄タイプのポンプ一体型水冷ヘッド。受熱ベース部は熱伝導率の高い銅製を採用。この裏にマイクロチャンネルがあるワケだ |
CPUからの熱を冷却水によって移動させ、120mm口径ファンの力で水温を下げる。この作業で重要になるのが、ラジエターだ。軽量アルミニウム製のラジエターには、ウォーターチューブが連結され、水冷ヘッドからポンプの力で送られてくる温められた冷却水がサイドタンクに入る。そして波打つラジエターコアに常時120mm口径ファンからの風が通り抜けることで、冷却水の温度が下がるという仕組みだ。水冷ヘッド部には改良が加えられているものの、その設計自体は数多ある従来型の水冷キットと変わりはない。なおラジエターサイズは、W118.0×D27.0×H150.3mmとされている。
いわゆるドレンボルトの形状等に違いはあるものの、これまで流通してきたラジエターとの大きな違いは見当たらない。オールインワン水冷キットにとって、進化の余地がない部品なのかもしれない |
「Seidon 120M」のラジエター部に搭載される冷却ファンは、120×120×25mmのPWMモデル。発熱量が少ないアイドル時では必要最低限の回転数(最少600rpm)で動作し、静音性を確保。またCPUに高負荷を掛けるアプリケーション使用時は、最大回転数(2,400rpm)でパワフルに冷却を行う。さらにマザーボード側に搭載されるファンコントロール機能を使うことで、CPU温度状態をモニタしながらスペック以上の静音動作も期待できる。
7枚羽仕様の120mm口径ファン。スペックは600~2,400rpm±10%のワイドレンジ仕様。騒音値は19~40dBAで、風量は19.17~86.15CFM±10%。静圧能力は0.31~4.16mmH2O±10%で、軸受け構造は動作寿命40,000時間のライフルベアリングが採用されている |