エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.219
2013.03.26 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
テストセッション最後に、冷却ファンの回転数をチェックしておこう。「Seidon 120M」に標準搭載される120mm口径ファンはPWMに対応し、公称値600~2,400rpmで動作する。当然ながら使用環境や負荷状態により最低回転数・最大回転数は変動することから、あくまでテスト環境における数値であることをご了解いただきたい。なお回転数のモニタには、CPUID「HW Monitor」を使用している。
回転数テスト CPUID「HW Monitor」でモニタ |
ワイドレンジ120mm口径ファンを採用する「Seidon 120M」。そのスペックを最大限に発揮しているのは、オーバークロック状態。定格動作では高負荷時1,595rpmとなり、最大回転まだ十分の余力がある。一方でオーバークロック時は2,311rpmと、公称値を±10%としてほぼ最大回転で動作している。最後に付け加えると、「Seidon 120M」にはデュアルファンでの運用を想定し、冷却ファン用固定ネジが余分に付属されている。2基の冷却ファンによりラジエターを通り抜けるエアフローの吸排気スピードを上げることで、回転数を抑え、ワンランク上の冷却能力が発揮できるかもしれない。使用する構成パーツとの兼ね合いを考慮し、必要であればチャレンジして頂きたい。
PCパーツメーカーのビッグブランド、Cooler Masterが久々に投入したオールインワン水冷キット「Seidon 120M」は、同社のイメージにマッチした、スマートな製品という印象を持った。最大のポイントであり、独自に微細加工されたマイクロチャンネルを実際に目にすることはできないが、強力な薄型ポンプとの良好なマッチングにより、淡々と仕事をこなしてくれる。また、独特な羽形状の120mm口径ファンも、低回転で大きな風量を生み出し、ラジエターのポテンシャルを最大限に引き出してくれているだろう。
冒頭でも触れたように、ここへきてオールインワン水冷キットの差別化が活発化する傾向にある。限られたチューン要素から、まずは水冷ヘッドの改良が進み、今後も各社がアピールしてくることが予想される。その先駆けとして市場に送り込まれた「Seidon 120M」は、今後リリースされるであろうオールインワン水冷キットの座標軸的存在と言えるだろう。