エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.229
2013.04.26 更新
文:GDM編集部 池西 樹
「OC Genie II」のオーバークロック動作を確認したところで、ここからは各種ベンチマークを使いその効果をチェックしていくことにしよう。
まずはCPUコアの性能を確認するため「CINEBENCH R11.5」によるレンダリング性能をチェックしていこう。
CINEBENCH R11.5の結果(pts) |
「OC Genie II」によるオーバークロックで、シングルコアは約8%、マルチコアは約11%スコアが向上した。特にマルチコア時のパフォーマンス向上は顕著で、ゲームだけでなく動画エンコードやレンダリングのような重量級の操作をする場合には積極的に活用したい。
続いてグラフィックス性能を確認するため、最新3Dベンチマークソフト「3DMark Version 1.0.0」によるテストを実施した。なおプリセットには「Fire Strike」を選択している。
3DMark Version 1.0.0 Fire Strike |
3DMark Version 1.0.0 Fire Strike Extreme |
CPU性能が重要な「Physics Score」は、標準、Extremeとも順調にスコアを伸ばしている。一方、GPU性能が影響する「Graphics Score」についてはまったく変化がなく、総合スコアも微増にとどまった。
次にDirectX 11世代の定番ベンチマーク「3DMark 11 Version 1.0.5」でも計測を行った。なおプリセットには、「Extreme」と「Performance」の2つのプリセットを選択している。
3DMark 11 Version 1.0.5 Performance |
3DMark 11 Version 1.0.5 Performance |
スコアの傾向は「3DMark Version1.0.0」と同じ。「Physics Score」は、いずれのプリセットでも約10%スコアを伸ばしているが、「Graphics Score」と総合スコアにはほとんど影響がない。3DMark系のベンチマークをみる限り、GPU性能が重要なベンチマークでは、CPUのオーバークロック効果は限定的であることがわかる。
ここからは実際のゲームに即したベンチマークでスコアを計測していこう。まずはDirectX 11世代の「LostPlanet2ベンチマーク」から。品質設定は「アンチエイリアス」を“CSAA32X”、それ以外をすべて“HIGH”にセットし、解像度は1,280×720ドットと1,920×1,080ドットの2パターンでテストを行った。
LostPlanet2ベンチマーク(fps) |
「OC Genie II」により、両方の解像度でパフォーマンスは上昇しているが、いずれも1%未満と誤差の範囲。「LostPlanet2」では、CPUよりGPUの性能が重要で、性能に不足を感じるなら、素直にグラフィックスカードの変更を検討したほうがいいだろう。
次に「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」のスコアも確認しておこう。品質設定を“最高品質”を選択し、こちらも1,280×720ドットと1,920×1,080ドットの解像度でテストを行った。
ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア |
「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」では、これまでの3Dベンチマークと違い、1,280×720ドットで約8%、1,920×1,080ドットでは約9%と大幅にスコアが向上した。このようにCPUのオーバークロックで大きくパフォーマンスを伸ばすゲームもあり、性能に不足を感じた場合はまず「OC Genie II」を試してみるといいだろう。
オーバークロックの効果を確認したところで、「OC Genie II」の安定性を確認するため「OCCT 4.4.0」によるストレステストを実施した。今回はグラフィックスカードを搭載しているため、プリセットには「CPU:OCCT」を選択し、テスト時間は30分間、室温23.7℃の条件で行なっている。
定格時の「OCCT 4.4.0」の結果。CPUコア温度は54℃~63℃で変動している |
「OC Genie II」を有効にした場合。CPUコア温度は56℃~66℃で、定格から若干上昇している |
今回はCPUクーラーにサイズ「峰2」を“VR最小回転”で使用しているが、「OC Genie II」による温度上昇は小さく、高負荷時でも70℃以下に収まっている。さすがにリファレンスクーラーでは少々冷却性能に不安が残るが、標準的なCPUクーラーに交換してやれば、「OC Genie II」はゲーミング用途でも安心して利用できる。
最後に「OC Genie II」によって、どの程度消費電力が増加するのかチェックしていこう。アイドル時は10分間放置したなかで最も低い値、高負荷時は「CPU:OCCT」実行時で最も高い値とした。
消費電力(W) |
アイドル時はCPUの省電力機能が働くため1.9W増とほとんど変化はない。また高負荷時も16.3W増と、ゲーミングPCでは問題のないレベルに収まっている。パフォーマンスを重視するなら「OC Genie II」を常に有効にしたままで運用するのも良いだろう。
今回は、MSI初のゲーミングマザーボード「Z77A-GD65 GAMING」を検証してきた。最大の特徴でもあるKillerブランドのギガビットLANチップ「Killer E2200」は、検証結果を見る限り、帯域幅の拡張やレイテンシ削減に効果があり、よりシビアな操作が要求されるFPSゲームなどで効果があるだろう。さらに「OC Genie II」によるチューニングは、消費電力や発熱への影響を最小限に抑えつつPCのパフォーマンスを底上げでき、ゲーミングPCにマッチしたオーバークロック機能と言える。当然、これらの機能はスタンダードなPCにも有効で、高品質な製品を欲しいというユーザーニーズにもマッチする。
また他社のゲーミングマザーボードが非常に高価なのに対して、「GAMING Series」は、今回検証したフラグシップ「Z77A-GD65 GAMING」が20,000円弱、最もローエンドな「B75A-G43 GAMING」なら10,000円弱という価格設定も大きな魅力の一つ。これまでゲーミングマザーボードを使ったことのない、入門者向けマザーボードとしても大きな意味を持つ製品となりそうだ。