エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.230
2013.04.29 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
今回のレビューを始めるにあたり、まずエルミタとFractal Designの関係を振り返っておこう。
Fractal Designは、2007年にスウェーデンのヨーテボリで産声をあげた。今年で5年目の比較的新しいPCパーツメーカーだ |
Fractal Designといえば、今や国内市場でPCケースの人気ブランドのひとつに挙げられる。同社コンセプトである静音志向のPCケースは一部で”窒息系”と呼ばれ、新製品の注目度も高い。そんなFractalだが、日本国内市場に上陸してから、わずか3年しか経っていない。
Fractalがエルミタに初めて登場したのは、2010年5月。当時はまだ国内市場での取り扱いがなく、海外のサイトで話題になっていたモデルに興味を持った筆者が、直接Fractalにコンタクトを取り、製品サンプルを依頼したのが事の始まり。ほどなく編集部に届けられた記念すべき上陸第1号が、エルミタ的速攻撮って出しレビューVol.41でお届けした「Define R2」だった。
国内上陸前に編集部に届けられた「Define R2」 |
今だから言える事だが、届けられたサンプルは工作精度が比較的悪く、特に内張りの吸音シートが所々で剥がれ落ちており、撮影前に補修をするありさま。そのスタイルから、海外では某社のPCケースに似ていると揶揄されていたが、要所で劣る部分があり、あと一歩どころか二歩、三歩、品質管理を向上させる必要があると感じたことを記憶している。(たまたまハズレだった可能性はある)
そして掲載間もなく国内での発売が決定。日本人好みのデザインはすぐに受け入れられ、それほど時間を必要とせず、ミドルタワーPCケースのメジャーブランドになった。
人気ブランドであるにも関わらず(国内第1号を取り扱ったにも関わらず、だ)その後はなぜか縁がないまま約3年のブランクを経て、この度「Define XL R2」が編集部にやってきた。なかば、無言で都会に出た愚息が、ひょっこり帰ってきたような気分だが、さてどこまで立派になったものか。今回のレビューは勝手ながら、親の目線でその「成長ぶり」を厳しくチェックしてみたい。
エルミタ久々の登場と相成ったFractal Designだが、今回の主役は静音志向の「Define XL R2」だ。冒頭でも触れたように、前回のレビュー(2010年5月)は「Define R2」だったが、今回は奇しくもそのフルタワー版となる、いわば派生型にあたるモデル。事前資料に目を通すと、なるほどミドルタワー版「Define R2」と酷似する部分が多数見受けられる。
進化のスピードが速いPCパーツ業界における3年は、”ひと昔”という感覚だが、ひと頃に比べればどのメーカーもひとつの製品を「熟成」させる方向にシフトする傾向にある(近頃動きが鈍いGPUのそれとは少々異なるものの)。その裏には昨今の市場の動向に影響し、次々に新しい金型による新製品投入がしにくくなっているという事情もあるだろう。加えてエンドユーザーの評価も厳しくなっていることから、闇雲に新製品を乱発よりも堅実に改良を加え、熟成させていくパターンが今後増えていくかもしれない。
Fractal Design「Define XL R2」シリーズ 製品情報(株式会社アスク)(Fractal Design:ブラック/チタングレー) |
なお、「Define XL R2」のカラーバリエーションは、ブラック(FD-CA-DEF-XL-R2-BL)とチタングレー(FD-CA-DEF-XL-R2-TI)の2色展開。ちなみにFractal Designのミドルタワーは、現在「Define R4」シリーズまで進化しているが、いずれもブラックとチタングレーがラインナップされており(ホワイトも有り)、Fractal DesignのPCケースでは一貫してこの2色が採用されている。
「Define XL R2」のカラーバリエーションは、ブラック(FD-CA-DEF-XL-R2-BL)とチタングレー(FD-CA-DEF-XL-R2-TI)の2色展開。今回編集部にはチタングレーが届けられた。ちなみに色の違いはフロントパネル部分のみ |