エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.235
2013.05.20 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
マルチグラフィックス構成にも対応する、全8段の拡張スロット用プレートに、グラフィックスカードをマウントしてみる。搭載方法は通常のPCケース同様、拡張カードブラケットにインチネジ【B-10-06】を使用して固定する。なお、有効スペースを計測してみたところ、拡張カードプレートと正対する冷却ファンブラケットまでの距離は約310mmだった。もしこれ以上のスペースが必要な場合は、冷却ファンブラケットを外せばいい。
拡張カード有効スペースは、標準の状態で実測約310mm。ロングタイプを搭載したければ、冷却ファンブラケットを取り外す事で、約370mmのスペースが確保できる |
手元に残った最後の構成パーツ、ケーブルクランプ【B-10-09】を使って、仕上げに入る。弾力性のあるナイロン製ケーブルクランプ【B-10-09】は、口径違いでLサイズとSサイズ各3個が付属。マザーボードプレート背面にあるネジ穴を使い、任意の箇所にケーブルを結束固定できる。近頃の自作では、いわゆる「裏配線」が重要視され、多くのPCケースにケーブルマネジメント機構が装備されている。そこで注目されるのは、マザーボードトレイにあるスルーホール(背面ケーブル引き回し用の穴)。さらにケーブルの逃げ場となるマザーボードトレイとサイドパネルのスペースだ。
前者については、マザーボードプレートに多くの穴があり、さらにオープンフレーム型だけあって、自由度は高い。また、後者についても実測約70mmと十分過ぎる。「D-Frame」はそのスタイルを活かし、ケーブルマネジメント機構については申し分ない。
オープンフレーム型だけに”当たり前”だが、ケーブルマネジメント機構はPCケース最強クラス。ケーブルクランプでトレイ裏にネジ留するスタイルは、今後一般的なPCケースでも取り入れられるかもしれない。とにかく便利だ |
全てのパーツが組み上がったところでフロントI/Oポートが集約された【B-06】の詳細を確認しておこう。レイアウトは上からHDDアクセスLED、ヘッドフォン端子×1、マイク端子×1、USB3.0ポート×2、リセットスイッチ、そしてPowerスイッチが並ぶ。
Powerスイッチは最下部にレイアウト。ちなみにPowerスイッチには、LEDが内臓されており、電源ON時には発光する |
通常のPCケースレビューとは勝手が違い、かなり時間を要した今回の検証。作業自体は楽しいものだった。以前検証した「H-Frame」とは大きく異なり、PCケースをコツコツと組み上げていく過程は実に新鮮で、高い工作精度による小気味好さも堪能できた。
とかくこの手のモデルは「企画モノ」と捉えられがちだが、少なくとも「D-Frame」はIn Winが本気で企画した製品だ。その証拠といえるのが、砂型鋳造(sand casting)で丁寧に作られたマザーボードプレートと、タングステンと不活性ガスによる溶接「TIG」(Tungsten inert gas)で製造されたアルミ製パイプに表れている。いずれも量産モデルとは一線を画す凝りようで、それなりにコストも製造時間も掛かるはずだ。そこに妥協することなく、作り手のこだわりが込められた「D-Frame」には、一般的なPCケースとはまるで違う独特な感覚を味わうことができる。それは単に特異な形状からだけではない。
ちなみに国内正規代理店のCFD販売によると、国内での販売台数は非常に限られているという。なるほど量産モデルのようにはいかないだろう。購入を検討するならば、早めの決断が迫られそうだ。