エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.237
2013.05.26 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕/池西 樹
CPUクーラーで使われているヒートパイプの本数は、受熱ベース部分を見て確認するのが一般的だ。ただしヒートパイプが受熱ベース部で「Uの字」に曲げられている事もあり、2本に見えているものが実は1本である場合もある。目視だけではなかなか分かりにくいのが、ヒートパイプレイアウトだ。
「FX100」は、10 High Performance Heatpipesのキャッチどおり、一般的な6本よりも4本多いヒートパイプが使われている事がアピールされている。だが、受熱ベース部を見ると、4本分しかヒートパイプが接触していない。「Uの字」でなければ8本だが、それでも2本足りない事になる。この疑問を解消すべく、丸裸にされたヒートシンク部分に露出するヒートパイプレイアウトをじっくり確認してみた。
複雑な構造だけに、ZALMANの製品資料からヒートパイプレイアウトイメージを拝借(はじめからコレを見ればいいじゃないかと思うなかれ)。それぞれを辿っていくと、受熱ベースから伸びるヒートパイプはすべて縦レイアウトで、ヒートシンク部では一切横方向への曲げ加工はされていない。さらに外周を取り巻くヒートシンクは横レイアウト3本ずつのヒートパイプで連結(貫通)され、合計2セット構成。これを受熱ベースから立ち上がるヒートパイプに「点」で接触=熱伝導させているのだ。
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「FX100」の複雑なヒートパイプレイアウトと、熱伝導イメージ |
ZALMANといえば、「S字」「8の字」ヒートパイプレイアウトを採用したCPUクーラーでお馴染みだが、それにも増して「FX100」の熱移動設計は独自色の濃いものになっていた。自然流体解析によるケース内の空気流動に最適化されたというスタイル。ZALMANが提唱する、新たなファンレスCPUクーラーのポテンシャルは、この後に行う冷却テストセッションで明らかになるだろう。
ファンレス設計「FX100」の対応TDPは95W。100Wに近いスペックは注目に値するが、さらに発熱量の高いCPUを使う場合、また無理をせず通常の高冷却CPUクーラーとして使用したい場合に備え、92mm口径ファンが追加装着できるようになっている。
確保された搭載スペースは、サブヒートシンク間で、25mm厚冷却ファンに対応。マウント用ワイヤークリップも付属され、対応TDPを130Wまで引き上げることができる。
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25mm厚92mm(90mm)口径冷却ファンは、トップ面のプレートを外し、サブヒートシンク間にマウント可能 |