エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.241
2013.06.15 更新
文:GDM編集部
歴代「RAVEN」シリーズを語る上で、共通のキーワードとなるのは「正圧設計」だ。理論上、冷却ファンにより外部からの空気を強制的にどんどん取り入れる事で、常に内圧を高め、通気口経由で外部に排出するという作業を繰り返す。吸気部には防塵フィルタを装備し、ホコリの浸入を未然にシャットアウト。内圧と外圧の差を利用し、筐体内部にはホコリが溜まることなく、精密機器に優しいクリーンな環境を作り出しているというワケだ。
特に「正圧設計」が謳われていないPCケースも数多くあるものの、「RAVEN」シリーズが声高にアピールできる理由は、SilverStoneの自信作でもある”徹甲弾ファン”「Air Penetrator fan」の存在が大きい。
「RAVEN 4」には、フロント吸気部に180mm口径の「Air Penetrator fan」が2基装備されている。フロントパネル部分の多くを占める大迫力だが、標準搭載ファンはこの2基のみ。リア部に120mm口径ファンが1基装着できるものの、オプション扱いとされている。
「RAVEN 4」は標準でフロント吸気180mm口径「Air Penetrator fan」×2基のみが標準で装備されている。近頃の同クラスPCケースに比べれば、やや心もとないと感じるだろう。しかし「Air Penetrator fan」の直進性と高い静圧能力により、上段は拡張カード、下段はストレージとCPUクーラーの各エリアに向けて、水平方向にエアーを送り込む事ができる。さらにCPUクーラーの真横に当たるリアには120mm口径ファン×1基が増設できることから、サイドフロー型CPUクーラーの排熱補助を任せることも可能だ。
「正圧」前提のPCケースに最適化された「Air Penetrator fan」の存在は、PCケースにおけるエアフローレイアウトの常識を変えた、非常に大きな存在である事が分かる。
鋭い直進性と高い静圧能力が特徴の「Air Penetrator fan」。その存在は重要で、PCケースのエアフローレイアウトを大きく変えた |
前作「RAVEN 3」と設計上での大きな違いとして、電源ユニット搭載スペースレイアウトが挙げられる。前作ではシャドウベイ下のボトムレイアウトが採用されたが、「RAVEN 4」ではトップレイアウトに変更された。PC構成部品の中でも占有面積が広く、設計上厄介な電源ユニット。これをトップ部に持っていくことで、奥行きを短くしつつ、ストレージ搭載スペース確保と、マザーボード倒立レイアウトを実現している。
廉価版PCケース以外では久々に見る、トップ部の電源ユニット用開口部 | トップパネルにはスライド着脱式防塵フィルタを装備。つまり電源ユニットの吸気ファンは上面に向けて搭載するワケだ |
電源ユニット搭載スペースは、シャーシ前部の末端まで続く。ただし、5.25インチオープンベイとスペースを分け合うことから、搭載するデバイスに依存して、電源ユニット有効スペースが変わってくる |
良いPCケースと呼ばれる条件のひとつに、ケーブルマネジメント機構が挙げられる。いわゆる”裏配線”は、見た目の美しさはもとより、ケーブルの取り回しが良くなることで、組み込みやすさは格段に向上する。「RAVEN 4」のマザーボードトレイを見ると、縦横複数のスルーホールが用意されており、接続する各コネクタの位置を考慮。必要箇所に無駄なくレイアウトされている。
さらにCPUクーラーメンテナンス用ホール(カットアウト)は開口部も広く、CPUクーラー換装時には重宝するだろう。
必要な箇所、それに見合った大きさにカットされたケーブルマネジメントホール。組み込みを進めていくうちに、的確にスルーホールがレイアウトされている事が分かる |