エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.243
2013.06.18 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕/池西 樹
熱抵抗値を良好にする独自のTCCにより、従来モデルに比べより高い冷却性能を実現したという「ETS-T40-W」。だが、ヒートシンクデザインや外形寸法、受熱ベース部に変更は加えられていない。約2年前の検証で、ヒートシンク等の詳細解説は既に行っているが、改めて「ETS-T40」シリーズの特徴を簡単におさらいしておこう。
外観だけをとっても異彩を放つ、全身ホワイトカラーの「ETS-T40-W」。全体設計はオーソドックスなサイドフロー型CPUクーラーといえる |
「ETS-T40-W」の外形寸法については、詳細が図入りで開示されており、誰でも閲覧できる。突起部分を含めた外形寸法だけでなく、放熱フィンの大きさをはじめ、メモリクリアランスで重要なヒートシンク(冷却ファン)下部まで細かく表記されている。
「ETS-T40」シリーズの外観だけを見ると、一般的なサイドフロー型CPUクーラーだ。しかし細部には独自の工夫が凝らされている。
「ETS-T40」シリーズは、52枚のアルミニウム製放熱フィンの集合体で、φ6mmのヒートパイプ4本で構成されている。ヒートパイプは受熱ベースから放熱フィンに熱を移動させる重要な役割を果たすと共に、放熱フィンに貫通させることで、1枚の板を積み重ねて立体を作り上げている。ヒートパイプとは無くてはならない存在だが、一方で、冷却ファンから風を受けないヒートパイプ背面には、どうしても無風領域ができてしまう。このロスを少しでも改善しようというのが、VGF(Vortex generator flow)technologyというワケだ。
ヒートパイプ背面の無風領域を改善してくれるのが、VGF(Vortex generator flow)technologyだ |
ヒートパイプ背面にあたる放熱フィンにはエアフローのガイド的役割を果たす凸部が付けられている。ちょうどこれが風の流れを変えるフィンとなり、物理的にエアフロー方向を変えている。よって、通常無風となるヒートパイプ背面にも自然に風が流れるという仕組みだ。
次に挙げるのは、同じく特許のSEF (Stack Effect) designとAir path creating high VEF (Vacuum Effect)だ。
特許SEFとVEFにより、見た目はオーソドックスなサイドフロー型CPUクーラーながら、高い冷却能力を発揮する |
まずSEF (Stack Effect) designは、前述VGF同様、52枚の放熱フィン全てに加工されている。冷却ファン搭載面とは逆の位置に三角形の通気孔が設けられていることで、ヒートシンク内の空気の圧力が高まり、空気の速度が向上。冷却効果もUPするというワケだ。
またAir path creating high VEF (Vacuum Effect)は、フラップ形状(VEF)により、フィンを通じて強制的に空気を取り込むことができるという。
「ETS-T40」では、これら独自のフィンデザインを採用する事で、見た目はオーソドックスなサイドフロー型CPUクーラーながらも、優れた冷却能力を発揮することができる。