エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.243
2013.06.18 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕/池西 樹
「OCCT 4.4.0」によるCPU温度計測(室内温度24.5℃) |
次にCore i7-4770定格動作の結果を確認していこう。傾向はCore i7-3770K定格動作と同様で、冷却性能に余裕があるため調整スイッチによるスコアの違いはない。またリテールクーラーとの比較では、アイドル時で約7℃、高負荷時では約16℃とこちらも大きく温度が低下している。IvyBridgeと同じく、Haswellのリテールクーラーの性能はあまり高くなく、長時間負荷がかかるような場合はCPUクーラーの換装を検討したほうがいいだろう。
「OCCT 4.4.0」によるCPU温度計測(室内温度24.5℃) |
最後に、「OC Genie」機能で3.90GHzにオーバークロックした状態での結果も確認しておこう。リテールクーラーでは94.5℃まで温度が上昇し、ライトなオーバークロックでもかなり無理があることがわかる。一方「ETS-T40-W」では、冷却性能にまだまだ余裕があり、調整スイッチに関係なくファンの回転数は最高1,500rpm前後で頭打ち。負荷時の温度も75℃前後と標準的な数値で収まっている。
アーキテクチャがIvy BridgeからHaswellへと世代が移って間もない。LGA1155からLGA1150にソケットが変更されてはいるものの、幸いCPUクーラーのネジピッチは変更されず、既存のCPUクーラーが流用できる点はありがたい。エルミタ的には初めてHaswell「Core i7-4770」のCPU温度テストをお届けしたが、想像通り、リテールクーラーは用を成さずといったところ。どうやら別途CPUクーラーを用意する事は必須と言えそうだ。
今回検証を行ったENERMAX「ETS-T40-W」は、既存ラインナップにTCC(Thermal Conductive Coating)を施した強化版の位置付けで投入された。そのリリースタイミングから、当然Haswell世代を見越して企画されたモデルといえるだろう。
Haswellの中心的存在である Core i7-4770での検証で印象に残ったのは、搭載ファンの回転数がむやみに高回転にならない点。オーバークロック状態(3.90GHz)で最大回転数2,200rpmに設定しても、なかなか回転数が上がらず、無難なラインで淡々と冷却し続けてくれる。計測結果はグラフの通りだが、これはヒートシンクの出来が良いと判断していいだろう。オーバークロックでさらに高みを目指すなら、デュアルファン化させても面白そうだし、固定中速回転のファンに換装しても高いパフォーマンスを発揮する可能性がある。とかく”独自機構”を謳う製品に対して、怪しげにみてしまうきらいがあるが、「ETS-T40-W」は額面通りのパフォーマンスを発揮してくれる、”説得力のある”CPUクーラーだった。