エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.245
2013.06.29 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
パフォーマンスのチェックはここまでにして、今度はオーバークロックによって生じるであろう発熱の増加やクーラーの稼働状況に目を転じてみよう。果たして「N770GTX Twin Frozr 4S OC」が搭載するTwin Frozr 4Sは、ベンチマーク中にどう働いていたのだろうか。
なお、計測には「3DMark」の“Extreme”プリセットを使用し、実行時における最も高い数値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時として「GPU-Z 0.7.2」によるチェックを行った。
GPU温度計測 | |
ファン回転数計測 |
まず出荷時クロックと定格比はほとんど差がないと言っていい。GPU温度はもとよりファン回転数の差もほとんど誤差の範囲で、メーカーチューンによる温度面でのデメリットはまったくない。
その一方で、定格比100MHz近くのクロック差が生じている“OC Mode”ではさすがに温度上昇を免れないようだ。アイドル時は同回転数なもののGPU温度は6℃上昇、高負荷時では同じGPU温度を維持するために回転数が300回転ほど増している。ただしそれでもファンの稼働率は40%ほどに留まっているため、「Twin Frozr 4S」はまだまだたっぷりと余裕を残していると言えるだろう。ちなみにどの状態でもファンの騒音はほとんど気にならなかった。
最後は「N770GTX Twin Frozr 4S OC」の消費電力をチェックしつつ検証を締めくくろう。メーカーチューンや「Gaming APP」におけるお手軽カスタマイズはどれほど影響するのか、ワットチェッカーを使用して計測してみることにした。計測環境は上記と同様、「3DMark」の“Extreme”プリセット実行時における最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時と設定している。
消費電力計測 |
先に結論から言うと、高負荷時における消費電力増はほとんど気にならなかった。最大でも7W増と十分に許容範囲に留まっている。ただしアイドル時となれば話は別で、省電力モードに入りきらない“OC Mode”とその他クロックとの差は歴然。倍近くの電力を消費していることが分かる。「Gaming APP」はクリック一つでON/OFFが切替えられることもあり、必要なシーンでのみ有効にするのが賢い付き合い方のようだ。
静かにゲームを楽しめる際立った静音性にお手軽なパフォーマンスアップ、過激なチューニングに耐える堅牢さと見どころ満載。MSIの「GAMING Series」カードは出来がよかった |
ハイエンドクラスのグラフィックスカードであればゲーミングパフォーマンスに優れるのは当然のところ、その中でゲーマー向けを謳う「GAMING Series」とはどういうことだろう。「N770GTX Twin Frozr 4S OC」を試して気付く、このモデルの使いやすさにこそその答えがあるようだ。冷却パフォーマンスだけでなく、快適なゲームプレイを前提に静音仕様を突き詰めた「Twin Frozr 4S」。さらに誰でも気軽にゲームパフォーマンスをアップできる「Gaming APP」など、気負わずに“ツルシ”以上で楽しめる要素が魅力だ。もちろん軍事規格すらクリアする堅牢さは健在。ライトな楽しみ方の一方で、突っ込んだオーバークロックにチャレンジしたいヘビーユーザーにも訴求できる、レンジが広く完成度の高いグラフィックスカードに仕上がっている。
また、GTX 770自体もGTX 680をベースにバランスよくアップグレードを果たしており、GTX 680に手を伸ばさなかった人には特に優れた乗換え対象に映るだろう。これからGTX 700世代のグラフィックスカードを選ぶなら、静音性に簡単OC、伸びしろ豊かなパフォーマンスと、総合力に優れた「GAMING Series」モデルに要注目だ。