エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.253
2013.07.31 更新
文:GDM編集部 池西 樹
次に「ATTO Disk Benchmark 2.47」を使って、シーケンシャルアクセスの最大性能を確認しておこう。
「M5 Pro Xtreme」のATTO Disk Benchmark 2.47スコア | |
「HG5d」のATTO Disk Benchmark 2.47スコア |
最大転送速度は「M5 Pro Xtreme」が読込547MB/sec、書込456MB/sec。「HG5d」が読込554MB/sec、書込521MB/secで「HG5d」が優勢。ただし、データサイズ0.5~2.0KBまでは、スコアが逆転しており、「M5 Pro Xtreme」はOSやアプリケーションの起動で重要な”サイズの小さなデータ転送を得意”としていることがわかる。ここまでの結果を見る限り、マルチメディアデータのような大容量データを多く扱う場合は「HG5d」、OSやアプリケーションの起動を重視したい場合は「M5 Pro Xtreme」が有利であることがわかる。
最後に、データが大量に書き込まれたダーティ状態でのパフォーマンスの違いを確認していこう。テストには強制的にドライブを断片化する「スペースデデフラグ」を使い、空き容量が約5%になるまで乱数データを書込。その後、すぐに「CrystalDiskMark 3.0.2f」を使って測定を行った。
スペースデデフラグの設定。生成ファイルサイズはいずれも乱数可変0~4MBに設定して行なっている | |
「M5 Pro Xtreme」のCrystalDiskMark 3.0.2fスコア | 「HG5d」のCrystalDiskMark 3.0.2fスコア |
「M5 Pro Xtreme」はシーケンシャル読込が50MB/secとやや大きく落ち込むが、書込やランダムアクセスには大きな影響はない。「HG5d」はシーケンシャルアクセスにはほとんど影響がないが、ランダム書込は512K、4K、4KQD32とも軒並み低下している。特に512Kと4KQD32の低下率は大きく、起動ドライブや仮想メモリに使う場合は、空き容量に注意する必要がある。
パフォーマンスへのアプローチが異なる「M5 Pro Xtreme」と「HG5d」。自分の用途にあった製品を選ぶのが重要だ |
東芝製MLC NANDフラッシュとMarvell製コントローラ採用する「M5 Pro Xtreme」「HG5d」だが、検証結果をみる限り、前者はランダムアクセス重視、後者はシーケンシャルアクセス重視と、その設計思想は異なり、一概に優劣をつけることは難しい。
しかし敢えて結論づけるとすれば、「M5 Pro Xtreme」は一般的な運用においてランダムアクセスが高速で、ダーティドライブにおけるパフォーマンス低下も小さい事から、多くのシーンで力を発揮してくれるはずだ。加えて、MTBFが240万時間と長く、5年の長期保証が受けられる点も、購入する際には大きなポイントとなる。
一方、起動時に大容量データを読み込む事が多いゲーム起動や、マルチメディアファイルを頻繁に利用するなら、シーケンシャルアクセスが高速な「HG5d」という選択もアリだ。
いずれにせよ、パフォーマンスに対するアプローチが多極化しているSSDでは、用途にあった製品を見極めるのが最も重要。これから購入を検討しているなら、ぜひ今回のレビューを参考に最適な製品を選択してほしい。