エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.255
2013.08.04 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
「G-Master Hydro-Mini」で採用されている各構成パーツは、そのひとつひとつをサイコムが厳選。一切妥協することなく選定されている。
今回検証するにあたり、サイコム社内で使用されている構成パーツ選定のデータシートを入手。公開の許可を得ることができたため、「G-Master Hydro-Mini」が製品として完成する過程の一端をご紹介しよう。
こちらは「G-Master Hydro-Mini」製品サイトで開示されている、独自検証結果のスクリーンショット。詳細なパフォーマンスデータは重要な資料だ |
「G-Master Hydro-Mini」の製品サイトには、サイコムが独自に行ったベンチマークテストの結果が開示されている。購入を検討している人にとって貴重なデータであり、サイコムの製品に対する自信の表れとも言えるだろう。さらに今回入手した「社内パフォーマンスデータ」には、「G-Master Hydro-Mini」が完成するまでの過程を垣間見ることができる。
「G-Master Hydro-Mini」の社内向けパフォーマンスデータ(抜粋)。通常開示されることはない |
サイコムの開示許諾を得たこのデータは、冷却パフォーマンスをテストしたもの。ここでは主に、トップ部(天板)に増設する140mm口径ファンの選定が行われており、吸排気方向の違いによる冷却能力と動作音など、計14構成で検証されている事が分かる。さらに水冷化されたCPUとグラフィックスカードは、ラジエターの取り付け位置によるパフォーマンスの違い等もテストされており、あらゆる要素をじっくり検証しながら、熟成されていくというワケだ。
エルミタでもレビューをお届けするにあたり、複数の検証を行っている。しかしこれほど詳細なデータを開示できるほどのテストは実施していない。サイコムはBTOカスタマーのプロフェッショナルである事は言うまでもないが、新モデルを乱発することなく、地道な検証により製品が生み出されている事がお分かり頂けただろう。
次に検証が行われ、採用が確定したトップ部(天板)の140mm口径ファンについて解説していこう。
トップ面の冷却ファン増設スペースには、「T.B.Silence」シリーズのENERMAX「UCTB14B」(140×140×25mm)が標準搭載されている。これはサイコムのオリジナル仕様。あらゆるシーンを想定し、冷却ファンの有無や吸排気方向等をテストした結果、最も冷却効率がよかった内部吸気仕様でマウントされている。常識的には、熱がこもる内部の空気を排出した方がいいと考えるだろう。しかし水冷ユニットを搭載した「G-Master Hydro-Mini」では、通常の排気に比べ、吸気はCPUおよびGPU共に、温度が低くなる結果が出ている。これは水冷クーラーの冷却能力を左右するラジエターに、内部の暖められた空気よりも、フレッシュな外気を送り込む方が有利に働いている事が想像できる。
トップ部のシステムファンENERMAX「UCTB14B」は、「G-Master Hydro-Mini」の標準装備品。詳細なテストの結果、外気を取り入れる吸気方向に設置されている。回転数750rpm、騒音値10dBA、風量47.89CFMのTwister Bearing(ツイスターベアリング)は、静かに大風量をPCケース内部に取り込む役割を果たしている重要なものだった |
検証結果を踏まえ、「G-Master Hydro-Mini」のエアフローレイアウトを一度整理しておこう。
「G-Master Hydro-Mini」のエアフローレイアウト |
CORSAIR「350D」の標準装備品となるフロント吸気140mmファン(1,000rpm前後)は前部から筐体内部に外気を取り込む。またトップ140mmファンのENERMAX「UCTB14B」(750rpm)も内部吸気方向。CPU冷却用水冷ラジエターに搭載される120mmファンのENERMAX「UCTB12P」(500~1,500rpm/PWM)および、グラフィックスカード冷却用水冷ラジエターのENERMAX「UCTB12」(900rpm)は、いずれも外排気にレイアウトされている。
このように合計4基の冷却ファンは、それぞれ重要な役割を担い、安定動作に貢献しているのだ。
フロント吸気140mmファンはCORSAIR「350D」の標準装備品。スペックは非公開だが、検証中にモニタすると回転数は1,000rpm前後で推移しおり、単体で動作させても静音性は確保されていた |