エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.255
2013.08.04 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
サイコムBTOで忘れてならないのはケース内部の”ケーブル捌き”だ。初めてサイコムのBTOを検証した際、決して機械的ではなく、無駄のない取り回しと「結束技」に感銘した。「G-Master Hydro-Mini」はATXミドルタワーよりも小振りなMicroATX筐体。限られた容積の中で、どのような組み込み方をしているのだろうか。BTOとは無縁な自作派諸氏も、サイコムの組み込み技術は大いに参考になるはずだ。
両サイドパネルを取り外し、サイコムのケーブルマネジメント術をじっくり見ていこう |
マザーボードのSATAコネクタ周辺。赤いSATAケーブルは2.5インチSSDと3.5インチSSD用。ストレージはいずれも横レイアウトだけに、コネクタはマザーボートトレイ背面方向になる。マザーボードのSATAコネクタとストレージは至近距離にあることから、ショートタイプのSATAケーブルが使用されていた。
黒いラッチ付SATAケーブルはDVDスーパーマルチドライブ用。赤いSATAケーブルの上に覆い被せるように配線されている事がわかる | |
2.5インチSSDに接続されたSATAケーブルと電源ケーブル。SATAケーブルは、小径タイプのナイロン製結束クリップでくるりと一回転させることで、適切な長さに調整されている |
ATX24pinメインコネクタ周辺は、ケーブル類の過密地帯。PCの中で最も太い24pinメインケーブルをはじめ、USB3.0ヘッダピンも隣接。さらにグラフィックスカードに接続されるPCI-Express補助電源ケーブル2本も、24pinメインコネクタ横にあるケーブルマネジメントホールが利用されている事から、一見複雑に入り乱れているように見える。しかし狭い筐体では敢えてケーブル類を1箇所に集中させる事で、それ以外のスペースに余裕を持たせることができる。こと「G-Master Hydro-Mini」では、水冷チューブが都合4本あるため、できる限りケーブル類はコンパクトにまとめておこうというワケだ。
効率よく設計されているとはいえ、そこはMicroATX。ケーブルの取り回しにはそれなりの技が要求される | |
マザーボードトレイの縦のラインに並ぶ2箇所のケーブルマネジメントホールからは、上下にケーブルが分かれていく | |
興味深いのは、マザーボードトレイ縦のラインに並ぶケーブルマネジメントホールが、上段は下方向、下段は上方向にケーブルが伸びていく点。無駄とストレスを極力減らすサイコムの組み込みテクニックだ |
PCケース内部をきれいに見せるあまり、ケーブルをあれもこれもとマザーボードトレイ背面に押し込んだ挙げ句、サイドパネルが閉じられなくなった、、、ケーブルマネジメントを意識して自作した事のある人なら、思い当たる節があるだろう。ケーブルマネジメントのコツは、マザーボードトレイを境に、表面と裏面に配置するケーブルの切り分けがポイント。”見えないところに隠す作戦”は、そう易々とは成功しない。その点、「G-Master Hydro-Mini」はミドルタワーPC並の構成パーツ点数が組み込まれていながら、特にマザーボードトレイ背面が非常にスッキリと仕上げられている。
トップ部増設ファン用ケーブルとCPU補助4+4pinケーブルは上部のケーブルマネジメントホールも有効活用。5.25インチベイ上部の隙間も利用され、ここからフロントアクセスポートから伸びるケーブルがマザーボードトレイ背面から各ヘッダピンへ向かう | |
構成パーツ点数からは想像できないほどスッキリとした背面。簡単そうに見えるが、実際にはたやすく真似のできるものではない |
グラフィックスカードに接続されるPCI-Express補助電源ケーブル | GPU冷却用水冷チューブは、CPU冷却用水冷ラジエターファンの取り付けネジにタイラップ固定されていた |
DVDスーパーマルチドライブの電源ケーブルコネクタは、精密電子部品用テープで補強されていた |