エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.263
2013.09.06 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
さて、オーバークロックにおけるパフォーマンスアップはご覧いただいた通りだが、果たしてその最中に「Twin Frozr 4 Advanced」はどう働いていたのだろうか。発熱やファン回転数を「GPU-Z 0.7.2」を使用してチェックしてみよう。なお、計測には「3DMark」の“Extreme”プリセットを使用し、実行時における最も高い数値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時とした。
GPU温度計測 | |
ファン回転数計測 |
2パターンとも、アイドル時には省電力機能が働くため違いはほとんどない。そこで高負荷時に目を向けてみると、GPUコア温度が70℃台と高めなのに対し、ファン回転数はいずれも低く抑えられている。クーラーの冷却能力にかなりの余裕があるのは明らかで、初期状態ではできるだけ騒音を抑える設定になっていることがうかがえる。チューニングツールの「Afterburner」ではユーザー定義の回転数設定が可能なため、GPUコア温度が気になる人は自分なりにカスタマイズしてみるといいだろう。
最後はベンチマークテスト中における「N760GTX HAWK」の消費電力をチェックする。オーバークロック志向のモデルとなれば消費電力を気にする人は少なそうだが、それはそれ。先ほど同様に、「3DMark」の“Extreme”プリセット実行時における最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時に設定し、ワットチェッカーによる計測を行ってみた。
消費電力計測 |
アイドル時は先ほど同様に違いはなし、一方で高負荷時は6Wの差がついている。今回はある種制限付きのカスタマイズのため、ホンキでオーバークロックをかければさらに消費電力は増加するはず。とはいえ現実的なチューニングにおいては想定内の変動のため、消費電力アップを気にするかどうかは使い方次第と言えそうだ。
ミドルレンジクラスは選択肢の多さも魅力の一つながら、その中でも「OC Certified」のバッジを付けた「N760GTX HAWK」はかなりツッパったモデルといえる。オーバークロック耐性の高さを謳うモデルは数あれど、極冷までを見据えた製品はそう多くはない。価格面では上位匹敵のプレミアムな一品だが、思い切ったオーバークロックに挑戦できるモデルとしては十分アリだろう。「ツインBIOS」や「V-チェックポイント」などそのための装備も破格の充実ぶり、オーバークロックの入門モデルとしてもこれ以上ない選択肢だ。
極冷をからめた極限のオーバークロックに遊ぶもよし、堅牢さを理由に安定性重視で使うもよし。MSI「N760GTX HAWK」は魅力多きグラフィックスカードだ |
もちろんオーバークロック以外に無縁かといえば、ここまで無茶がきく耐久性に引きがないはずがない。軍事規格クリアの高耐久マザーボードをチョイスするように、とにもかくにも壊れない安定性を求めるなら「N760GTX HAWK」はピカイチの存在。パフォーマンス面でもバランスのいいチューニングが施されており、“ツルシ”で使っても十分に満足できるはず。ミドルレンジに現れた“異端”かと思いきや、「N760GTX HAWK」はよく考えられ、かつよく出来たグラフィックスカードだった。