エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.264
2013.09.12 更新
文:GDM編集部 池西 樹
最後にベンチマークテスト中における消費電力を確認しておこう。アイドル時は、起動直後10分間放置した際の最小値、高負荷時は「3DMark Fire Strike」実行時における最高値としている。
消費電力(W) |
アイドル時は電圧、クロックとも同等レベルに引き下げられるため有意な差は見られなかった。また高負荷時は約16W増加しているが、パフォーマンス向上を考えればこちらも許容範囲内。電源ユニットは500Wクラスを用意すれば十分まかなえる計算で、それほど神経質になる必要ないだろう。
チューニングによるパフォーマンスの効果を確認したところで、ハイブリッドクーラー「Accelero Hybrid」の冷却性能をチェックしておこう。計測には「3DMark Fire Strike」と「GPU-Z 0.7.2」を使い、実行時における最も高い数値を高負荷時、起動直後10分間放置した際の最小値をアイドル時としている。
GPU温度(℃/室温26.5℃) | |
ファン回転数(℃) |
公称TDP265WとされるGeForce GTX 780を、50℃前半に押さえこむ冷却性能は極めて優秀。冷却性能にはまだまだ余裕があり、あくまで自己責任になるが、より高クロック動作を狙う場合でも安心だ。また空冷システムのファン回転数は、アイドル時945rpm、高負荷時2,058rpmとこちらも標準的。静音とは言えないが、ケースに入れてデスクの下に置いてしまえば十分押さえ込めるレベルで、ゲームプレイの邪魔になることはないだろう。
CPUの冷却システムとして高い評価を得ているオールインワン水冷キットを、より発熱の大きいGPUの冷却に応用するのはとても理にかなった手法だ。これは今回の検証結果からも明らかで、Arctic「Accelero Hybrid」をいち早くハイエンドグラフィックスカードに導入する辺り、Inno3Dブランドの先見の明といったところだ。
単なるVGAクーラー交換以上の魅力を備えた、Inno3D「iChill GTX 780 Accelero Hybrid」 |
また「Accelero Hybrid」は単体発売も行われているため、安価な空冷モデルを購入して載せ替えれば、コストを抑えられるという意見もあるだろう。しかし、VGAクーラーの交換は“改造行為”に当たり、メーカー保証が受けられなくなるという大きなデメリットがある。その点「iChill GTX 780 Accelero Hybrid」なら、3年間という長期保証に加え、チューニングによる最高レベルのパフォーマンスや、より冷却性能を高める放熱プレートの搭載など、コスト差を埋めるには十分な味付けが施されている。
導入に際して、ラジエターの設置スペースをどうするかという問題はあるものの、近頃はデュアル水冷運用を想定したPCケースの選択肢も増加中。10,000円前後から購入できることを考慮すれば、グラフィックスカードの新調に合わせて買い替えてしまうのが得策かもしれない。それを許容させる魅力が「iChill GTX 780 Accelero Hybrid」には確かにある。