エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.266
2013.09.21 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
ここからはパフォーマンスの検証を離れ、テスト中のGPU温度とファン回転数をチェックしていこうと思う。果たして「TriFrozr」はどのような性格のクーラーなのか、「GPU-Z 0.7.3」の数値から読み取ってみよう。なお、計測には「3DMark」の“Extreme”プリセットを使用し、10分間のループ実行時における最も高い数値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時とした。
GPU温度計測(室温26.5℃) | |
ファン回転数計測 |
アイドル時にはほぼ差がないことから割愛するとして、高負荷時には出荷時62℃だったコア温度が73℃に上昇している。一方ファン回転数は目立った変化がないため、許容範囲の温度変動ながら、さらに温度を引き下げたい場合にはユーザー側で回転数を調整してやる必要がある。いずれにしても冷却ファンは最高負荷でも50%以下の回転数で駆動しているため、温度を下げるにしろさらなるオーバークロックを目指すにしろ、クーラー側にはかなりの余裕がある。テスト中動作音が気になるシーンも一切なく、かえって「TriFrozr」のポテンシャルの高さを伺わせる結果といえそうだ。
最後はベンチマークテスト中における「N780GTX Lightning」の消費電力をチェックしておく。もちろんハイエンドモデルとあって組み合わせる電源ユニットもパワフルなモデルをチョイスすることになるが、オーバークロックによる消費電力増は多少なりと気になるところ。先ほどと同様、「3DMark」“Extreme”プリセットの10分間ループ実行時における最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時に設定し、ワットチェッカーによる計測を行ってみた。
消費電力計測 |
“OCバージョン”ではクロックアップを反映してか、アイドル時から消費電力がやや大きい。しかしながら高負荷時では36W増にとどまっており、この程度のオーバークロックであれば十分許容範囲内といえる。もっとも常にOC状態である意味はあまりないため、設定のプリセットを保存して必要な時に呼び出すなど、スマートな付き合い方で回避できる問題とも言えそうだ。
単なるリファレンススペックのモデルでは物足りないと、メーカーチューンの施されたカスタムモデルを手に取るユーザーは多い。スペック周りのカスタムや静音高冷却なオリジナルクーラーに魅力を感じてのチョイスなワケだが、その点で「Lightning」シリーズの存在感は抜きん出ている。MSIが当代の技術を結晶させた最高峰モデルとあって、チューニングの自在さやオーバークロック装備の充実ぶりから、常に最強グラフィックスカードの一角を占めてきた。今回登場の「N780GTX Lightning」は巨大クーラー「TriFrozr」の採用などトピック満載で、店頭では早くも人気の高さから品薄状態が続いている。10万円前後という同クラスでは突出した高価格モデルであることを考えれば、驚異的なことだ。
GTX 700世代の最強カード最右翼、MSI「N780GTX Lightning」。極限パフォーマンスを追求するなら手に取って後悔はないだろう |
もちろん価格面を含め、万人向けのモデルとはとても言いがたい。通常使用の範疇では過剰と思われる圧倒的な電源フェーズや、何より極冷までを見据えたコンポーネントの搭載など、その豪華すぎる機能の数々は極限を目指すエンスージアストを狙い撃ちにするものだ。お得感やコストパフォーマンスといったキーワードからは多少無縁ながら、とにかく最強のカードが欲しいという向きには後悔しない一枚になるだろう。