エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.271
2013.10.19 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
最後にCPUクーラーを搭載してみよう。近頃のPCケースで開示される例が多くなったCPUクーラー有効スペース(高さ)は、公称171mmとされている。一般的なミドルタワーPCケースは160mm台が主流である事を考えれば、ゆったりとスペースが割かれている事が分かる。
なお今回のテストでは、デビューしたばかりのオールインワン水冷ユニット「Seidon 120V」を借り受ける事ができたので、こちらを搭載してみる事にした。
Cooler Master「Seidon 120V」 市場想定売価税込8,000円前後(10月11日発売) |
本来であれば、トップ部に240mmサイズラジエター仕様の「Seidon 240M」が有力な選択肢となるはずだが、今回は発売したてのニューカマーとあって、120mmサイズラジエターモデルをチョイスした。装着についてはどこかに物理的な干渉があるワケも無く問題なく装着できている。
想像通り、なんらトラブルなく搭載できた「Seidon 120V」。ちなみにこの新製品はマイクロチャンネルの改良により、より高い冷却性能がアピールされている。その実力のほどが少々気になるところだが、今回は装着テストのみのご登場で勘弁いただこう |
Cooler Masterの「CM 690」シリーズといえば、自作派の多くが認めるミドルタワーPCケースの定番だ。初代の大ヒットは自作史に名を残し、2代目の正常進化は違和感なく受け入れられた。さて3代目となる「CM 690 III」の細部を検証してどんな印象を受けただろうか。
これほど定番化されたPCケースはこの先もそうそう生まれることはないだろう。人気シリーズでの新モデル投入において、大掛かりなフルモデルチェンジはギャンブル的要素を含む。ひとつ間違えればたちまち「改悪」の烙印を押されてしまうリスクを背負うからだ。真っ新なモデルデビューよりも慎重に進める必要がある。
今回デビューを果たした「CM 690 III」は、非常に慎重な「堅実路線」で進化を果たした。その証拠に、前作から外観デザインに大きな違いは見当たらない。しかしPCケースの善し悪しを見分ける大きなファクターのひとつとなるドライブベイには、これまでにない「SSD/HDDコンボトレイ」なるものを投入。2.5インチにも3.5インチにも姿を変える新機軸とシャドウベイレイアウトの無類な柔軟性は3代目最大の特徴となるだろう。さらにオールインワン水冷ユニットと親和性を高めた内部構造も手堅くまとめられている。
「CM 690」シリーズは、多くのプライベートブランドPCにも採用される定番モデルだ。自作PC市場では「優等生」ともいえるミドルタワーPCケースのモデルチェンジは、実に危なげのないものだった。